なぜこの時期なのか

金融庁が全国の地方銀行に対し、不動産業への融資増加について警告を発したという報道が出ました。地銀経営の健全性に懸念を示し、不良債権化を未然に防ぐ狙いがあるという。なぜ、この時期なのでしょうか。警告が出るということは、
・融資増加が激しい
事実があることはわかると思います。しかし、増加がダメなわけでもなく、他に原因があるように感じます。

地銀が抱える構造的なジレンマ

報道によれば、地方には優良な貸出先が少なく、地銀が東京など大都市の不動産案件に「越境融資」を行う動きが広がっていたという。これは現場でもよく聞く話しです。優秀な行員ほど、都心部へ転勤しているのでは、と言われていましたから。

地銀の立場に立てば、地元の人口減少と経済縮小が続く中で収益を確保しなければならないのはハードルが高い状態です。その中で、不動産融資は比較的利回りが高く、担保も取りやすい。そのため前向きに検討していたのでしょう。

しかし、越境融資には明らかなリスクがあります。土地勘のない不動産融資については、審査のノウハウも限られていますし、現地の市場感覚も十分でないまま貸し出しが膨らめば、何が起きるかは歴史が教えてくれています。実際にバブルが弾けるようなことが起こるのかはわかりませんが、その懸念をもとに今回金融庁が警鐘を鳴らしたのでしょう。

管理体制の甘さが浮き彫りに

金融庁の聞き取り調査では、地価下落を想定した「ストレステスト」を十分に活用していない地銀の存在が明らかになった。融資を前提に考えるときは、どうしてもストレステストは避ける傾向にあると予想できます。地価下落を想定してしまうと、融資金額が限定的になってしまうからです。担当の方も成績を求められているので、現場ではそうなってしまうのでしょう。

まとめ

金融庁は今回、「リスク管理態勢の高度化」を文書で地銀に求めたという。この金融庁の行動は、リスクが高くなっている現実を表現したことにもなるでしょう。地銀リスクが高いことを知らしめるできごとだと感じました。このような小さなことが積み重なっていくことで現実が明らかになり、次のステップも推測できるというものです。

——————————-
スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳(fujiwara takeyoshi) 運営 執筆