何がまったなしなのか
こんな言葉を使っているとは知りませんでした。日本自動車工業会(自工会)が「まったなし」という言葉を使って業界全体に危機感を訴えているのです。
昨年には業界再編にまで踏み込んだ議論が必要だとして「新7つの課題」を発表しています。
・資源の安全保障
・カーボンニュートラル
・サーキュラーエコノミー
・人材基盤
・自動運転
・税制改革
・サプライチェーン再構築
と、どれも日本の自動車産業が生き残るために避けて通れないテーマばかり。
しかし、現実には改革はほとんど進んでいないようですね。現在の自工会会長はトヨタ自動車の佐藤恒治氏。自工会に専念するため社長から副会長になる予定を発表。自工会の改革に取り組む姿勢を見せています。ここだけを見れば、本気度が伝わってきます。
「7つの課題」が示す状況
自工会が掲げた7つの課題を改めて見ると、あることに気づきます。それは、どの課題も「自社だけでは解決できない」ということ。資源の安全保障は国家レベルの問題であり、カーボンニュートラルはエネルギー政策と表裏一体です。自動運転にはインフラ整備が不可欠ですし、税制改革は政治の領域です。つまり、これらの課題は一企業の経営判断では片付かない「業界全体の構造問題」だと感じています。
ただ、ここに難しさがあります。個社の努力では動かせない課題に対して、業界団体として足並みを揃えようとすると、各社の利害が衝突します。もともと国内では競争相手。グループはありますが、お互いのことを開示するわけにはいかない立場。足並みを揃えたいのはそうなのだが、開示はしたくない。そこが本音ではないでしょうか。
しかし、グローバルで見れば、日本の自動車メーカーの優位性が永遠ではないことがわかります。それは、
・海外のEV自動車メーカー
が自動車だけを開発製造しているのではなく、自社で電池も製造し、ソフトウェアも自前で構築しているからです。しかも、その技術のもとは、日本の自動車メーカーにいた技術者が移籍して構築していると言われています。それが事実であるならば、自工会の「まったなし」も意味がわかるというものです。
まとめ
以前、自工会では「部品の共有化」を目指したことがあったそうです。しかし、実際に共有できたのは「灰皿だけ」と言われており、それが本当かはわかりませんが、業界を統一して、同じ方向に持っていくのは、難易度が高いことだと感じます。今回もどこまで到達するのかを確認したいと思いました。
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳(fujiwara takeyoshi) 運営 執筆
