顔を会わせているが

「うちは毎日事務所で顔を合わせて、報告も連絡もしている。だから会議は要らない」。こうおっしゃるリーダーは少なくありません。たしかに、チームであれば日常的な声かけや立ち話で情報共有はできますし、わざわざ時間をとって会議を開く必要はないように思えます。形式的な会議をやめること自体は、むしろ効率的に見えます。

しかし、ここに見落とされがちな落とし穴があります。それは、日常のコミュニケーションが「一方通行」になっていないか、という問題です。リーダーが情報共有という名の一方通行の報告、連絡をする。それでコミュニケーションが終わっているのではないかと感じるのです。

その流れはスムーズに回っているように見えて、実はスタッフから見れば、自分の考えや意見を発言する機会がどこにもありません。機会を奪われている感覚になるのです。

スタッフの側から見れば「言える場がない」と感じている可能性があります。この小さなズレが、やがて取り返しのつかない結果を招くことになるのです。

小さな不満は声にならない

スタッフが抱える不満は、最初から大きなものではありません。「もう少しこうしたほうがいいのに」「この業務のやり方に疑問があるので質問してみたい」「自分の意見を聞いてほしい」。どれも日常の小さな引っかかりです。

しかし、それを口にする場がなければ、不満は心の中に積み重なっていきます。小さな不満が蓄積し、あるとき臨界点を超える。そして、突然の退職届という形で表面化することもあるのです。リーダーにとっては「寝耳に水」ですが、スタッフにとっては「ずっと前から感じていたこと」なのでしょう。このギャップ、見えないこともあるので注意しています。

声にならない

厄介なのは、こうした不満はほとんど声にならないということです。日々の報連相の中で「実は不満があります」と切り出せるスタッフはまずいません。見たこともほとんどありません。

リーダーとの日常会話の延長線上に、本音を言える空気がないからです。だからこそ、意図的に「聴く機会」「聴く場」をつくる必要があると考えています。

必要なのは、月に一度でも、スタッフが自分の言葉で話せる時間を設けることです。業務報告ではなく、「最近気になっていること」「もっとこうしたいと思っていること」を自由に話せる場。小さなことでもいいので、確認したり、質問したり、意見を言える場のことです。

まとめ

「毎日顔を合わせているから大丈夫」という感覚は、リーダー側の一方的な認識にすぎません。コミュニケーションが双方向になっているかどうかは、スタッフの側に立って初めてわかることです。スタッフの感覚が正しいと考えるべき。

なので、毎日顔を合わせているから会議は要らないという判断は、置いておきましょう。一見合理的に見えますが、報告と連絡だけでは、スタッフの本音は聞こえてきません。小さな不満が積もり、ある日突然の退職として返ってくる前に、「聴く場」を意識的につくること。双方向のコミュニケーションを経営の仕組みに組み込むことが、第一歩です。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳(fujiwara takeyoshi) 運営 執筆