【fjコンサルタンツ365日Blog:3562投稿目】fjコンサルタンツ藤原毅芳 執筆
過剰生産と廃棄問題
過剰生産とは廃棄を前提に製造することです。
どの業界にも過剰生産は少なからず発生して
おり、最近ではメディアに取り上げられる
場面も出てきました。
廃棄が問題になる業界ではその姿勢が問われ
始めているのです。
コンビニ業界では
たとえばコンビニエンスストア業界。
お弁当などの惣菜やパンの賞味期限問題が
取り上げられることが多い業界のひとつです。
私も学生時代コンビニのアルバイトをしていた
のでお弁当の廃棄については罪悪感を感じて
いたものです。
ある時には、1日で100個以上の廃棄をした
ことがあり、ゴミ袋の山ができたほどです。
(オープン当初だったので発注ミスが原因)
最近では、賞味期限の延長がされており
廃棄についても若干やわらいだ形に
なっております。
しかし廃棄がなくなることはありません。
廃棄をなくそうとするならば、売り場が
スカスカになるからです。
スカスカの売り場では売上も伸びず
コンビニエンスストアの経営が成り立た
ないのです。
そんな矛盾を抱えている小売店の
代表格がコンビニエンスストアと
いえます。
アパレル業界では
他にもアパレル業界の過剰生産について
メディアで取り上げられる機会が
増えました。
今月に入り、
英国ファッションブランド:バーバリーが
・売れ残り商品の焼却処分禁止
を発表しました。
というのも、2017年に42億円分の売れ残り
商品を焼却処分していたのをメディアから
指摘されていたのです。
ちなみにバーバリーの年間売上は約4,000億円。
そのうちの42億円(売値)を焼却処分していた
ので1%程度になります。
原価ベースではもっと少なく、原価を1割と
するならば4億円程度の焼却処分となります。
焼却処分をするのはブランドを維持するため
というのが目的のようです。
転売されるよりブランド価値を高めるための
コストという認識です。
実際の廃棄割合は?(アパレル業界)
アパレル業界ではどの程度の廃棄をして
いるのでしょうか。
一説には
・約5割(48%)
を廃棄していると言われています。
セールに次ぐセールをして最後に
残るのが5割と言われているのです。
年間の製造数が
・27.9億着
で廃棄が
・13.4億着
なのです。
他のデータでは、
・年間供給量:40億着
となっています。
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/seizou/apparel_supply/pdf/report01_03_00.pdf
アパレルの市場規模推移
アパレルの市場規模は
・1991年に15兆円
程度ありました。
それが最近では
・10兆円程度
で推移しています。
3割減したことになります。
しかし、製造数は増えているのです。
価格帯が低くなったため製造数が
増えたと解釈されています。
このデータを見る限り、
過剰生産という体質は変わって
いないようです。
なかなか企業は変身できないことが
ここからも読み取れます。
無駄な生産を止めてコストダウン
無駄な生産・製造を止める動きも
出てきています。
アパレルの商品をオーダーでつくる
店舗も出てきました。
小ロットで国内生産する動きも活発です。
結局のところ生産の無駄を削ぎ落とすことも
・品質向上
といえます。
もしくは
・品質の最適化
ともいえるでしょう。
これからはこうした最適化がなされていくと
予想しています。
国内の縫製工場は今後も小ロット生産で
活躍すると言われています。
縫製職人の方の給料は、今から増えていく
と予想されているのです。
業界の矛盾は即解決されることはありませんが
ゆっくり時間をかけて解消されていくものです。
今後も見守りたい業界のひとつです。