【fjconsultants365日Blog:3,756投稿目】fjコンサルタンツ藤原毅芳 執筆

ホテル業界の収益構造が気になる

打ち合わせなどでホテルに出入りすることがあるのでホテルの収益構造には以前から興味を持っていました。

ビジネスホテルの利用回数も累積では1,000泊超になっておりビジネスホテルという特化型宿泊施設と結婚式などの部屋を抱えているホテルとの経営の違いも気になるところです。

どこに違いがあるのか、また何を重視しているのかを考察してみたいと思います。

イベント開催のホテル

結婚式場を併設しているホテルでは、その施設を使ってビジネスイベントも行われます。

会社の周年事業であったり、新年会、祝賀会といった会社のイベントです。

こうしたホテルにはビジネスイベントを営業する担当がいます。
1回のイベントで大きな人数が集まる場合があるので営業担当は重責を追っています。

宿泊の稼働率も大切ですが、こうした大型施設を所有しているホテルではイベントの開催数が収益を左右するのです。

そのため最近ではビジネスイベントを企業イベント以外にも広げているのが特徴です。

町並み

マイス(MICE)とは

マイス(MICE)という単語があります。
これは、ビジネスのイベント総称をあらわす言葉です。
http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kokusai/mice.html

もともと世界的なホテルチェーン企業が使い始めた言葉と言われています。

最近は官公庁がインバウンド政策のひとつとしてマイス(MICE)を使っています。

ビジネスイベントを増やすことで観光が増えたり、ホテルも収益が増えるという効果が期待できるからです。

マイス(MICE)とは、下記4つの単語の頭文字をあらわしています。

  • Meeting
  • Incentive
  • Conference
  • Exhibition

の4つ。
それぞれ日本語にすると

  • 会議、研修
  • 報奨旅行
  • 学会、国際会議
  • 展示会

となります。
それぞれを具体的に見ていきます。

会議:Meeting

会議は社内の会議室で行われるということが少なくなりました。
不況が訪れた時に、オフィスを縮小した企業が気がついたのです。
稼働率の低い会議室をオフィスの中に抱えておく必要があるのか、コストをかける必要性があるのか、気がついてしまったということ。

その影響で小型会議室は「貸し会議室」という業界を生み、広がってきました。
人数を集めて行わる会議や社内イベントも同様に社内施設がなくなったので社外に求めることになりました。

その需要をホテルが狙っているということです。
競争相手は箱(施設)を持っているところで、企業とは限らず公共施設も同じ土俵にあがっているのが現状です。

報奨旅行:Incentive

企業は優秀な社員を対象にした報奨旅行を行います。
しかも海外旅行になることが多いので通常の社員旅行とは予算が違います。

これは海外からの報奨旅行も同様です。
宿泊場所や食事はランクの高い場所が選ばれ、人数も多いのでホテルにとっては収益が大きい顧客層と言えます。

ある業界の報奨旅行はハワイが多く、優秀社員はその旅行に行くことができるのがステイタスになっています。
満足度が大きいのでこうした報奨旅行を行い続けていると思います。

学会・国際会議:Conference

学術会議は都心で行われるだけでなく地方でも頻繁に行われています。
そのため、地方で平日に宿泊の予約が取れないことが増えました。
これも学会を誘致している証拠だと思います。
学会は学会が行われる施設だけでなく、参加される方の宿泊も期待できます。
国際会議は必ず宿泊が伴いますので大きな収益になるのです。

展示会:Exhibition

展示会は展示会専用会場で大規模に行われることを想像しますがそれだけではありません。
ホテル施設でも企業が開催する展示会が行われています。
新商品発表の展示会を顧客限定で行っていたり、関係会社だけを対象に今後の展開を披露したりしているのです。

ビジネスホテルとは

ビジネスホテルは宿泊だけの特化型ホテル。出張専用の宿泊施設です。

そのためヘビーユーザーがリピートするかがカギになります。
実は大手ビジネスホテルチェーンが顧客の細かいニーズをつかみとってサービスに展開しているとは限りません。

特化型なので細かい対応をサービスとして打ち出している
ビジネスホテルは大手ビジネスホテルチェーンではないケースがあるのです。

大手だけが勝つという業界ではないと感じています。
また、宿泊特化型の中にもさらに「快適な睡眠」ができるビジネスホテルも登場しています。
宿泊特化のビジネスホテルの満足度は快適な睡眠が最も優先すると考えているのです。

コンセプトが細分化されているのが今のビジネスホテル業界の特徴だといえるでしょう。

まとめ

ホテル業界は「稼働率」という言葉がすべてです。
稼働率が限界に来たら、いかに高い価格で提供するかというところにステージを上げていきます。

価格が曜日や時間帯によって変化するという現象が今ではホテル業界で一般的になりました。
ビジネスホテル以外のイベント施設併設のホテルでは施設の稼働率がカギになります。
実際に不況のホテルを再生した事例ではイベントの件数を増加させたことで一気に黒字回復したことがあります。

ということは、稼働率を上げるための施策が繰り出されているのがわかります。
そのひとつがMICEだったわけです。

今後も新たな施策が生み出されていきます。
他の業界への転用、応用が可能な内容ですので参考にしたい部分といえます。