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〜1日3分、3ヶ月で1冊分の知識転移〜fjコンサルタンツ藤原毅芳

価格戦略の事例

価格戦略は他社と同じで良いのでしょうか。
他社に追従するだけで価格設定は良いのでしょうか。

ここ数年価格設定のバリエーションが急激に増えました。
時間や曜日によって価格が変動することも当たり前のようになってきました。
サブスクリプションと言う定額制も徐々にですが知名度上げてきています。

正解のない世界ですが他社の事例を見ながら学びとることができるところは
吸収してしまいましょう。

入園料無料の成果は?

2018年7月に富士急ハイランドの入園料無料がスタートしました。
この話題は一度取り上げたことがあります。
https://www.businesscreation.jp/2018/06/09/

テーマパークはディズニーランドをはじめユニバーサルスタジオも
値上げの方向に向かっていきました。

その中で富士急ハイランドだけは入園料無料にしたのです。
その後の経過が気になっておりました。

結果を見てみたいと思います。

入場者数4割増加

結果を見れば入場者数は4割増加し、売上高も10%以上伸びています。
もともとあった入園料の売り上げ以上に収益が上がっていることになります。

さらに富士急ハイランドを経営してる富士急行はバスなどの事業も行って
います。
そのため入場者数増加に伴いバスの収益も増えているのです。

増加した入場者は外国人旅行客とシニア層だそうです。
入場したら乗り物に乗るだけでなく飲食もするので売り上げが確保されたと
いうことです。

入園料無料は成功

結果を見れば入園料無料の施策は成功だといえます。
入園料無料のニュースを聞いたときに思い切ったことをするなと感じました。

実際にはこの施策を行う前に隣の施設で入場無料という試みをしています。
その時に飲食と物販の売上結果を見て富士急ハイランド本体の入園料無料に
踏み切ったということです。

ディズニーランドやユニバーサルスタジオと違った施策を打ったのは
富士急ハイランドの立地にあります。
富士山の麓、河口湖の隣に位置する富士吉田エリアには毎年、やってくる
観光客が多いのです。

その中から、乗り物に興味がない顧客層入園料無料で取り込むのが今回の
狙いでした。
それが成功したということです。

【参考】
https://www.fujikyu.co.jp/soumu/investors/index.html

値上げ成功

各企業で値上げの検討され実施されています。
値上げによって客数と売上を減らした企業もありますが逆の結果の
企業もあるのです。

ヘアカット専門店QBハウスの値上げ後の結果が順調です。
もともと1,080円カット料だったのを1,200円に値上げしました。
(2019年2月からスタート)

その結果、来店客数は2%減少と言う結果になっていますが売り上げは
既存店で1割の増加という結果に落ち着いています。

ほぼ値上げ分が売り上げの増加につながっています。

値上げ分はそのまま利益になる

値上げによる売り上げ増加がそのまま利益につながります。
先程のQBハウスの場合は増えた売り上げ1割がそのまま利益になると
いうことです。(固定費が増加しない場合)

値上げのタイミングは頻繁にあるわけではないのでこうした値上げのできる
時期に実施したいっていうのが企業の本音だと思います。
値上げ分が売り上げ増加につながれば利益を増やすこともできるからです。

まとめ

価格戦略は経営のノウハウの塊です。
他社の成功事例、失敗事例を見て判断できるものでもありません。

同じ業界の成功事例を自分の会社に当てはめてみてもあまり意味がないと
いうことです。
置かれた環境やお客様が違うからです。

ただ他社事例は参考になります。
その会社が狙っていたところが何か、その狙いを顧客戦略で達成できたのか、
というところは見ておいて損はありません。

これから大企業の決算がかなりの数で報告される時期にきます。
各社の価格戦略がどれが結果になっているのかという視点で決算を見るのも
面白いでしょう。