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~1日3分、3ヶ月で1冊分の知識転移~経営コンサルタント藤原毅芳執筆
取り戻せないのはなぜか
「時間は取り戻せないから大切に使え」と言われたことがいちどは
あると思います。
時間は戻すことが不可能。
何もしなくても時は進む。
「いちどスタートしたことは戻せないんだ」
仕事では戻せないからロスを感じる。
損失を意識します。
お金として反映されるから。
スタートしてしまったが方向性が違いやり直すとき損失が
大きく出ます。
世の中の会社でやり直し・ミスによる損失はいったいいくらになるのでしょうか。
生産性を上げることを意識するときが増えていますが仕事のスピードを
上げる前にミスを減らすだけでも生産性は上がります。
そのためにも「戻らないこと」を意識すること。
不可逆性を理解することだと考えています。
今回はビジネスにおける不可逆性について深めていきます。
不可逆性とは
不可逆性とは可逆性の反対語。
字のごとく「逆にできない」が不可逆性、
「逆にすることが可能」なのが可逆性。
「お湯は置いておけば冷める、しかし水は置いていても温かくはならない」
という事例はよく使われます。
実際にビジネスでは、どのような場面のことを指しているのでしょうか。
事例から考えてみます。
時間の不可逆性
時間は不可逆性の代表。
絶対に戻すことができない(と考えられている)。
将来は時間も可逆性になるかもしれませんが今のもころは不可逆性と
して考えます。
経営では戦略のミスは致命的と言われるのは、それまでにかけた時間が
戻らないからです。
時間のロスは競争では完全に負け。
なので経営では戦略がもっとも優先度が高いといわれるのです。
卸・問屋経由で商品を流すと
ビジネスで不可逆性を考えてみるといくつか思いつきます。
例えば、メーカーとして商品を販売するとき最初に卸・問屋経由で
販売し拡大します。
これは時間を買う戦略で有効。
しかし、コントロール度が低い。
どこに販売されているかもよくわからない。
いったん規模が大きくなってから、この販売ルートを直販(直接販売)に
切り替えることは不可能に近い。
難易度が高すぎるのです。
実際に直販に切り替えた事例はありますが容易ではありません。
不可逆性のひとつだと考えています。
信用の不可逆性
「覆水盆に返らず」ということわざがあります。
盆からこぼれた水は戻ることはない、ということから
一度失った信用は戻らないことを意味しています。
信用はたった一度で失う。
そして戻らない。
この怖さを知っている人は経験した人。
ひどいことをされた人はよくわかっています。
痛みをわかる人になることは、今後自分が信用を失うことは
少ない。
だからこそ意味があります。
組織はゆるくなるのが自然な流れ
組織(チーム)は、時間の経過とともにルールが
ゆるくなる傾向にあります。
何もしなくて自然にルールが厳しくなる組織は見たことが
ありません。
決めたルールを守る、決めたルールに沿っておこなう、という
ことが時間とともにゆるくなるのが普通なのです。
ゆるくなることはできるのだが、自然な時間の経過とともに
厳格になることはない。
これも可逆、不可逆の一種。
そう考えて事象を見るとおもしろいです。
まとめ
ビジネスの活動はほとんどが不可逆性。
そう考えておいて間違いない。
時間は取り戻せない。
何もしなければ組織は停滞する。後退する。
いつでも戻れると思っている人はなにもしない傾向にあります。
しかし、何もしなければ戻らないどころか悪化する。
そうなのです。
頭の中で、「不可逆性なのかどうか」を判断すれば、なにもしない
という選択肢は消滅。
戻れないならば、なにか手を打つ方向へと導くからです。
この点を見過ごさないようにしていきたいところです。