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~経営には優先順位がある~経営コンサルタント藤原毅芳執筆
話題のパワハラ指針(素案)
厚生労働省が示したパワハラ防止指針(素案)。
これが話題になっているようです。
正確には
・職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する
指針の素案
https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000559314.pdf
という資料になります。
話題になっている論点は、指針(素案)で定義された
・パワハラに該当する
・パワハラに該当しない
の内容です。
こうした議論がニュースで出ているときは、安易に理解せず
元になる資料を読み込むことだと感じます。
今回は、この資料を元に考えていきたいと思います。
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パワハラの定義
パワハラの定義は
- ①優越的な関係を背景とした言動であり
- ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
- ③労働者の就業環境が害されるものであり
- ①から③までの要素を全て満たすもの。
となっています。
パワハラに該当する・しないの境界線
とは言っても、どこまでパワハラに該当せず、どこからが
パワハラなのか、よくわかりません。
今回の指針(素案)では、該当しない事例を掲載しています。
(その事例の内容が争点になっています)
具体的には、
- 誤ってぶつかる、物をぶつけてしまう等により怪我をさせること
- ルール、マナーを欠いた行動に再三の注意後、改善されないときに強く注意すること
- 新規採用労働者教育のため、短期集中的に個室で研修実施すること
- 育成するために現状より少し高いレベルの業務を任せること
- 経営上の理由により、一時的に、能力に見合わない簡易な業務に就かせること
- 労働者の能力に応じて、業務内容や業務量を軽減すること
- 労働者への配慮を目的として、労働者の家族の状況等についてヒアリングを行うこと
となっており、これらがパワハラに該当しない内容なのです。
なんとなく、争点になっていることがわかると思います。
ここまでやっても該当しない!とは、おかしいのではないか
という意見が出ているのです。
とはいっても、該当しない境界線を明確にはできません。
数値であらわすこともできません。
「誤って」「再三の注意」「少し高いレベル」「簡易な業務」
「能力に応じて」といった表現を見る限り、境界線を明確に
できないことを感じます。
そもそもパワハラがなぜ起こる
パワハラが発生する前提になっているのは、上司リーダーへの
不信です。
信頼関係がない状態。
人は、尊敬している人から言われることはすべて受け入れる性質が
あります。
しかし、それは師弟関係に近く、会社の中の人間関係では成立
しません。
成立しないと個人的には考えています。
しかし、リーダーのほうが無理やり師弟関係を押し付けている場合や
上下関係だからいいだろう(OKだろう)と考えているのがパワハラ
起因になっています。
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まとめ
今回の争点を見て、強く感じることは、パワハラと見なされて
しまう行動はリーダーはしないこと。
手法を変えることです。
言い方を変えることです。
表現を変えることです。
今後、リーダーはこうしたパワハラを回避しながら成果をあげる
チームづくりができる人しか残れないと感じています。
大幅にリーダーが入れ替わる組織もあるのではないでしょうか。
【出典】
第20回労働政策審議会雇用環境・均等分科会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07350.html