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~経営には優先順位がある~経営コンサルタント藤原毅芳執筆
ポジション
マーケティングにはポジションという概念があります。
商品ごとに位置が決められる。
たとえば、
・ハイエンド
・ミドルレンジ
・ローエンド
といった価格帯や対象顧客層によって商品を分けて
提供している。
そのポジションの概念が変わりつつあるように
感じます。
今まで、「松竹梅」「高中低」と3つのポジションが
当たり前のように語られてきましたが、それが
成立しない事例が増えているように感じるからです。
その点を事例をもとに考えていきたいと思います。
生産終了
トヨタ自動車の「マークX」(旧:マークⅡ)が2019年12月で生産終了
となりました。
1968年から発売をしており日本では一定の知名度と
ポジションを築いていた車種です。
当時は
・クラウン
・マークⅡ
・カリーナ
という序列で売り出していました。
今の日本ではSUVカテゴリーが広がっており、セダンは
減少しています。
その中でミドルレンジのマークⅡがひっそりと
生産中止になったのです。
セダンは米国で売れており、トヨタのセダンでは「カムリ」
という車種が売れ筋。
日本でも発売されているのでカムリを残し、マークXは
生産終了という判断をしたと思われます。
開発費の配分でそう決断したのでしょう。
しかし、ブランド力のあるマークXを廃止したという事実は
大きなことだと感じます。

ハイエンドは残る
ポジショニングの観点で考えれば、真ん中のポジションである
ミドルレンジが消滅したことになります。
カムリは残っていますが、米国仕様で開発された車種なので
実質的には日本向けではありません。
そうなると
・クラウン
・カローラ
だけになり、ハイエンドとローエンドだけになるのです。
今まで日本では「中流」という層がいる前提で商品づくりが
されてきましたが今後は中流層というのは消滅したという
考えで商品開発されるのではないでしょうか。
他の事例:ミドルレンジ消滅
航空会社業界も同様なことが発生した経験があります。
ハイエンドはANA、JALの2社。
ローエンドにスカイマークが出てきた時代があります。
しかし、その後LCCの航空会社が参入してきて、
スカイマークはローエンドではなくミドルレンジに
ポジションが変更してしまいました。
そのときに、2階建大型旅客機を導入し再度ポジション変更を
試みましたが会社は経営できなくなったのです。(経営破綻:民事再生)
大塚家具も同様です。
高級家具を扱っていた大塚家具が経営者が交代し、ミドルレンジの
店舗として生まれ変わる、と挽回を狙いました。
しかし、ミドルレンジのポジションは家具業界には存在せず
そのまま敗退。
ヤマダ電機と資本提携することになったのです。
これは、もう少し詳細に考察すると、
・高級家具
・ミドルレンジ:大塚家具が狙った
・ローエンド:ニトリ等
と考えていたと思われます。
しかし、家具業界はネット通販が急拡大したので、この
ポジションが成立しなかったのも原因のひとつなのです。
まとめ
ポジションを取る。
これはビジネスでは外せないポイントです。
新しいポジションを見つけたときに興奮しますが
実際に経営してみるとそのポジションが架空の場所だった
ことがわかることもあるのです。
今回の事例は、ミドルレンジのポジションが減少しているのを
裏付けているように感じます。
ハイエンドとローエンドだけで成立している業界が増えて
いるのではないでしょうか。
その点を見極めて経営の判断をしていきたいところです。