fjconsultants365日Blog:4,491投稿目 fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆
スキルマトリックス公開
上場会社で取締役のスキルマトリックスが公開されています。
どの取締役がどのような経験をしてきたのか、素養があるのかがわかる表です。
上場会社は株主などのステークホルダー(利害関係者)に対して説明責任があります。
取締役がバランスの取れた人選になっているのかを確認するためのスキルマップなのです。
スキルマトリックスは、取締役の素養・経験及び取締役会におけるバランスを一覧表にまとめたもの
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/pdf/company/publicity/2017/170924_kuroda.pdf
スキルマトリックス事例
では、どのような指標でスキルマトリックスが作成されているのでしょうか。
事例を見ていきます。
下記は「出光昭和シェル」のスキルマトリックスです。
コーポレートフィロソフィ・経営戦略 | ガバナンス・法務 | 財務・会計・税務 | 国際ビジネス・多様性 | デジタル変革・テクノロジー | 環境・社会・エネルギー政策 | 人材開発 | 営業・販売 | 製造・供給 | |
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スキルマトリックスを見れば偏りがすぐにわかります。
上記では製造・供給のスキル保有者は1人だけなのが特に目につきます。
もうひとつ事例を見ていきます。
HOYAの事例です。(社外取締役スキルマトリックス)
企業経営 | グローバルビジネス | 財務/会計 | テクノロジー | M&A | 人材育成/ダイバーシティ | |
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役員は最終決定者
役員クラスの会議は最高決定機関です。
そこに偏りがあれば決定軸にも偏りが出てしまいます。
公開企業は、適切な役員の人選が行われているのかを証明しなければなりません。
そのためにこのようなスキルマトリックスが用いられているのです。
もう一方で、このようなスキルマトリックスを作成しなければならないという意識から多様性を意識します。
どうしても役員の人選は社内の特定の部署から選出が続いてしまうことがあります。
そのとき「多様性」を意識すると適切な人選を考えるようになるのです。
今後はスキルマトリックスを公開する企業が増えていくでしょう。
まとめ
上場会社に限らず役員の選出は偏りがなく多様性があったほうが経営のバランスが取れます。
全員賛成ばかりの決議は異常です。
それこそメンバー選出に問題があったと判断されてしまいます。
時代も変化に富み、今後も経済は上下に激しく動きます。
対応できる企業は多様性があり議論の幅が広いのは事実。
こうした役員会のスキルマトリックスを作成することで自己評価ができるのではないでしょうか。