fjconsultants Blog:4,573投稿目 fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆

外された状態の取次店

書籍の流通が変革期を迎えています。
以前にも本の流通に出版社が参入した話を取り上げました。

大手出版社の講談社、集英社、小学館が商社の丸紅と手を組んで流通に乗り出したのです。
2021年に新会社の設立予定です。
取り組みの内容は
・AIによる配本業務の効率化
・ICタグ活用
の2つです。
これにより取次の大手トーハンと日販が実質的に外されることになるのです。

巻き返しのトーハン

外されることになった取次店。
黙っているわけにはいきません。
トーハンが大日本印刷と提携し、物流改革を起こすと発表しました。
ちなみにこの2社の提携は初めて。

今回の物流改革を通じ、書店からの返品率は20%以下を目指す

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73801660S1A710C2TEB000/

返品率を20%以下を目指すとしています。
この数値、思い切った目標です。

返品率がクローズアップ

書籍の流通は、再販制度があるので返品率(返本率)が40%以上と言われています。
書店は仕入れた書籍を売れなかった場合、取次店に返品できるのです。
しかし、このムダは今まで問題でしたが解決への動きはありませんでした。

今回、大手出版社3社が課題をクローズアップした形になります。
その影響でトーハンも返品率を半分以下の20%を目標にするという大きな数値を発表してきたのです。

1953年の独占禁止法の改正により著作物再販制度が認められています

https://www.jbpa.or.jp/resale/index.html

まとめ

変革や改革がなかった業界に激震が走っています。
再販制度が認められてから68年が経っています。
ここまでの改革は初めてではないでしょうか。
返品率を半分の20%まで下げるとなるとコンビニエンスストアのように《売れ筋》の書籍だけが書店に並ぶようになります。
売れる本だけ置く。
そうなると予想しています。
マニアックな書籍は、図書館が購入するだけ。
もしくは専門店だけになりそうです。
書店という店舗の魅力が半減することにもなると思います。
ただ、出版社としては返品率を下げたいので、この改革は止まらないでしょう。
公開されていない情報も耳に入ってきていますが本当に激変しています。
今後も取り上げます。