40年据え置き価格
この30年間、日本では値上げができない雰囲気がありました。100円均一は40年以上『100円』のまま。駄菓子のうまい棒は43年ぶりの値上げ。発売した1979年から10円を維持していたのです。
余談ですが、うまい棒を販売している会社は企画販売会社で製造は委託です。自社では製造していません。自社で製造していたならば、ひょっとしたら値上げせずに40年以上維持することはできなかったかもしれません。別の会社だからこそ緊張感を保てると思うのです。自社製造部であったり、グループ内の製造会社だと注文が来るのか当たり前なので文句しか出てきません。改善努力が違うと感じます。
3年で当たり前に
人は3年間以上同じ状態が続くとその環境が当たり前だと感じます。価格が変化しないのが3年間以上経てば値上げすると大きなストレスを感じます。逆に毎年のように値上げが3年以上続けば、値上げに対してのストレスが減ります。当たり前のように感じてくるからです。
ノルムとは
日本では値上げしない状態が長くなってしまいました。これは異常値です。海外と比較すればわかります。このように値上げのない状態、値上げできない状態を日銀は《ゼロインフレのノルム》と呼んでいます。ノルム(norm)とは「標準」という意味。ノーマル(normal)はノルム(norm)に由来している言葉です。ゼロインフレが標準になってしまった状態が普通になっていたのです。
ゼロインフレのノルム(社会通念)とは
物価3%で円安も150円台、日銀が動かない理由は?:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB284SV0Y2A021C2000000/
これだけ長くゼロインフレが続くと、生活者心理として物価が上がらないのが当たり前になってきます。米欧では交通運賃や公共料金ですら頻繁に上がりますが、ゼロインフレが当たり前の日本では大騒ぎになるので、簡単に値上げできなくなります。日銀はこれを「ゼロインフレのノルム(社会通念)」と言っています。
まとめ
2021年からゼロインフレが終わり、インフレになりました。最初はゆるやかででしたが、2022年になると値上げラッシュが続いています。では、このインフレは継続するのか、収束するのか。このままインフレが続く予想の方が多く、ゼロインフレからインフレが常態になりそうです。インフレのノルムとなるでしょう。インフレが標準となる可能性が高いと考えています。何が常態なのかを確認しておきたいところです。
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆