販売に飽きる

販売手法は便利さに傾いてきましたが製品飽和で便利さは《飽き》も生じさせることになってしまいました。店頭で購入でき、ECでも買えるのが便利さであり、購入の機会損失を発生させない方法でもあったからです。しかし、新しい製品を知名度のないブランド(企業名)で展開し始めるときは便利さだけでは逆に売れない。別の手法も用いなければならないのです。

あえて売らない

ECサイトはあるがすべて「sold out」になっている製品があります。なぜなのでしょうか。あえて現在は通販をしていないのです。では店舗は存在しているのか。これもありません。リアルショップなしで販売を展開しています。臨時の店舗だけで販売する手法。ポップアップストアのみで展開しています。他人の軒先を借りる手法で、固定費はかかりません。週末だけ出店をしたり、数日間だけに限定して販売しています。

この手法、ファンがつくと遠距離でも買いにきます。年末商戦は購買意欲も高まるのでドライブ兼ねて遠距離の買い物に行く人もいるようです。遠くから来る顧客の層が増えているように感じます。出かけることが減ったので旅行以外で出かける要因がほしいのです。きっかけです。きっかけがイベントであり、上記の場合はポップアップストアというイベントに参加(購入)している意識なのです。

遠くからお客様は来ません、と考えている人はそろそろ考え直した方がいい。遠くからでも人はやってきます。むしろ遠くから参加したい人もいるのです。この観点に気がつく人と気がつかない人では差がついていくでしょう。

まとめ

希少性を出すことにより価値が発生する場合があります。常に購入することができない。特定の場所、特定の時間しか購入することができないことで価値が発生するのです。場所限定、期間限定、個数限定、バージョン限定といった限られた枠を意図的につくることで価値が発生するケースです。その製品を欲しい人が一定数以上いることが前提にはなりますが手法として知っておいて損はありません。

長年販売してきた製品であっても期間限定のバージョンを販売を試すのは意味があると思います。失敗しても限定なので痛みはほとんどありません。ブランドを毀損することもないでしょう。

こうした細かい施策を試すことは今後有益になります。顧客の意識が変わりつつあるからです。同じ販売手法では売れなくなる製品ほど試してほしいと感じます。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆