所信

2023年4月から新しく就任する日銀総裁植田和男氏の所信がありました。こうした所信では事前に質問事項が提出されていたり、想定問答を準備しておくものです。今回は「準備不要」と本人からの申し出があり、まわりのスタッフとの準備なしで行われたそうです。こうした公開発言はあくまでも表面的な内容になりがちで本心とはかけ離れていることがあるので、裏側を読み解いて見ていきたいところです。

新日銀総裁 植田和男氏 所信

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230224/k10013988331000.html

新総裁予定の植田和男氏は「あるべき姿」を明確にわかっており、現状の位置、課題も認識しています。そのため準備不要で会見に応じているのでしょう。あるべき姿を課題とのギャップをどのようなプロセスで埋めていくのかが今後問われています。おそらく解決プロセスをいくつか考えてはいますが、今は発言のタイミングではないので何も言わないと思います。ただ、任期中に「あるべき姿」まで到達させるつもりだと認識しています。今後の注目としては4月と6月の発言タイミングがありますのでまた取り上げていきます。

元理事の発言

こんな発言があります。元日銀理事だった方が任期終了後のインタビューで「異次元緩和に効果なし。わかっていても・・・やるしかなかった」と発言しています。「異次元緩和は最初からうまくいくとは思えなかったが・・・やるしかなかった」と発言しています。後から、そのようなこと言われても・・・と感じます。ということは、任期中の発言はホンネとタテマエを使い分けていることがあるのです。報道されるのは発言内容ですが、その裏側の考えや心理を読み解けるようになると将来予測が当たるようになります。

日銀元理事「異次元緩和に効果なし。わかっていても全力でやるしかなかった」
黒田日銀の10年とは~門間一夫さんに聞く

https://webronza.asahi.com/business/articles/2023022100003.html

まとめ

植田和男氏は、混乱を招かないよう発言には注意すると公言しています。自分のひと言で経済が動くことを認識しています。なので発言は今後も「予想範囲内」「ありきたりな内容」になるでしょう。しかし、タイミングをみて方向転換してくるはずです。同じ路線を継続するだけで終わるはずがありません。その点は単なる予測ですが、経歴から見れば、そう判断できるはずです。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆