決算発表時期

5月の上旬は、上場会社の決算が一気に発表される 時期です。この時期には次の3ヶ月の方向性が見えてくることもあるので、定点観測が有効な手段だと感じます。 上場会社に連動していてビジネスをしている企業も多く、上場会社の決算動向によって、今後の景気見通しが変化していくからです。 例えば、上場会社の予算配分を見れば、今後どの分野に投資を集中していくのかわかります。設備投資はわかりやすいポイントです。日本国内に設備投資をするのが減少傾向ですが、ゼロになっているわけでありません。新しい展開を考えている企業もあり、また海外から国内に 戻す動きもあるので、随時チェックが必要ではないでしょうか。

取り上げられるのは一部

ニュースで取り上げられる決算の報告については、非常に悪くなった会社が集中的に取り扱われます。最近ですと楽天グループになるのでしょうか。楽天モバイルの損失がだんだんと大きくなり、楽天モバイルの新規加入の数もさほど伸びておらず、時間の経過とともに社債の返済が近づいているからです 挽回するために、新しい料金プランを提示してきました。この戦略について少し考えてみたいと思います。

この戦略は

モバイルの業界は既に飽和しており、シェアを取り合うしか方法がありません。 スマホを持っていない人に加入してもらうことがほとんどないのです。こうした業界は日本では数多くあり、了解よってはシェアのバランスを保ちながら進んでいるところもあります。新規参入の会社がなければバランスが保っているからです。モバイル通信の業界に関しては、楽天モバイルが後から参入してきたので 既存の企業はシェアを取られたくありません。過去楽天モバイルが打ち出してきた戦略に関しては、即座に他社がより良いプランを提示しています。 そのため楽天モバイルのシェアが勢いよく伸びないという結果に落ち着いているのではないでしょうか。

戦略有効性

楽天モバイルは、5Gのアンテナを立てる費用が大きな負担となっているので、今回はauの回線を利用させてもらうことで、アンテナの設備投資を抑える方針です。 しかもauの通信を使う時は月間5GBまでの制限があったのですが、これを今回は撤廃するのが目玉です。 これで、ほんとに増加するのでしょうか。

皆さんは月間どの程度のデータ通信量を使ってるかご存知ですか。実際の使っているデータ量は半数の人が月間10GB以下と言われています。さほど使わないのです。通信データ量が多い人は動画を見ている人になりますが、動画サイトも節約モードが進化しており、 通信のデータ量は以前より減っているように感じます。 ということは、データが無制限で使える 楽天モバイルの戦略は少し的外れのような気がします。しかし他に戦略がないのでしょう。他に考えられるとすれば金額を安くするしかないのです。ただ金額を安くしても他の会社が追随してくるのは予想できる現実です。また通信料を安くするには、資金的な体力も必要です。 現在の楽天モバイルでは選択できないのでしょう。

(追記:2023/05/19)
KDDI社長は「そんなに貸さない」とコメントしたようです。ここでも駆け引きが行われています。6月からの楽天モバイルの新プランが頓挫する可能性もあるということです。
【楽天モバイルの新料金「最強プラン」、KDDI髙橋社長の「そんなに貸さないからね」の真意とは – ケータイ Watch】
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/ishikawa/1501095.html

まとめ

戦略は、あくまでも選択肢が多い方が強く、戦略に勝てます。 限られた戦略しか選択できない状態になると負けてしまうのは、次に打ち出す手を予想されてしまうからです。 今回の楽天モバイルの打ち出した戦略も、他社はもともと見抜いているのではないでしょうか。対抗するかどうかも判断しながら、次の戦略を持ち出してくるでしょう。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆