工場新設件数と面積
2022年に関する工場立地動向の最新結果が公表されました。継続的な傾向が見受けられます。このデータを見るとわかりますが、リーマンショックが引き金となって引き起こされた2008年の金融危機以降、大きな変動が見られない。同じ動きを持続しています。過去10年以上にわたって継続的な動向なのです。
なお、ピークを迎えたバブル経済期(1986年から1991年)と比較してみると、現在の工場立地の数はその時期の約1/4となっています。バブル期の繁栄の度合いを示す一つの指標といえるでしょう。
さらに、いざなみ景気と呼ばれる2005年から2007年の間と比較してみると、工場立地の数は大体その半分(1/2)程度にまで落ち込んでいることが明らか。これは、経済の動向を示す重要な指標であり、工場立地の現状を深く理解するための重要な情報源と考えています。
2022年(1月~12月)
https://www.meti.go.jp/statistics/tii/ritti/result-2/pdf/r04gaiyoshiryo.pdf
工場立地動向調査の結果について(経済産業省)
業界ごとにちがう
当然ですが業界ごとに立地動向がちがいます。2022年になって大きく件数増加した業界は
・化学工業
・プラスチック
・生産用機械
で、逆に2022年に大きく件数減少したのは
・食料品
・電気機械
・輸送用機械
となっています。こうした傾向は毎年特殊な動きを示すこともあるので、毎年の定点観測をしなければなりません。今後は半導体関連が話題になっているので、その結果が来年2024年に発表されるでしょう。また確認したいところです。
マクロで見ると
もう少しマクロの視点で見れば、工場新設件数が増えないことが日本の景気に影響していると考えています。通常ならば、景気が良くなれば新設工場が増える。設備投資が増加します。しかし、工場の海外移転により、その動きも今はありません。そのため景気サイクルが回らないので成長なしが続いている。そんな解釈も成り立つのではないでしょうか。消費が伸びないことにも間接的に影響が出ていると考えています。
まとめ
成長性があるところに企業は設備投資をします。市場が広がると予想できればさらに設備投資が加速します。現在はそのサイクルではありません。そうなると老朽化した設備の更新がメインになってしまいます。毎年一定量の設備更新が行われるだけになります。そんな動きが今後も続くのかを見極めたいところです。
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆