見ているようで見ていない

人は見ているようで見ていない。同じ景色を見ていても、覚えている場所は人それぞれ違います。街を通れば建物を取り壊ししている場面を見ますが、そこに何が建っていたのかわからない自分がいます。毎日通っている道沿いでもそんなことが発生するのです。なぜ、人は見ているようで見ていないのか。目に入ってきているのに、認識しないのでしょうか。特徴的なできごとだと感じます。

なるべく使わないようにしている

人は、目に入ってくる情報をすべて認識するとどうなるかわかりますか。街を歩いているときに見えているすべてを認識したらどうなってしまうのでしょうか。
実は脳がフル稼働してしまいます。すべてを認識し、判断していたら脳がフル稼働し、大変疲れてしまうのです。そのフル稼働を支えるエネルギーも莫大になり、現状の食事ではエネルギーが不足するといわれています。
そのため脳は限定的な認識により脳の稼働を抑えているといわれているのです。脳を使っていないという論調がありますが、脳はなるべく使わないように設計されていると思った方がいいでしょう。

スコトーマとは

スコトーマという概念があります。人は先入観やバイアスによって、特定の情報を見落としたり、無視したりする現象のこと。視覚的に見えないようになったり、理解するときに理解しようとしなかったり、無視してしまうことです。自分の住んでいる街を頭の中に思い出すとき、思い出せる場所や店舗に限りがあるのは気がつくと思います。認識を限定しているのです。興味がない場所は覚えることができないのと同じです。クルマが好きな人はクルマを扱う店舗の場所を覚えていますが、興味がない人は覚えていません。毎日同じルートを通勤している人でも認識に違いがあるのは実感するのではないでしょうか。

まとめ

では、ビジネスでもこのスコトーマは頻繁に発生しているのではないでしょうか。見ているけど気がつかない現象です。ある企業では「ここが自分たちの強みなので掘り下げたい」とミーティングをしていました。しかし、外の人間から見たとき、「時流はそこではなく、ここではないか」と感じたことがあるのです。自分たちの思い込みが強くなるほど、時流を無視してしまうことも発生するのです。
ではどうしたら克服できるのでしょうか。克服するには、価値観に固執せず、反対意見も含めて幅広く情報を受け入れることが大切。「それは必要ないよ」とは絶対に言わないこと。「それは意味がないよ」とも言わないようにした方が良さそうです。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆