個人エゴの集まりか

組織とは、一見すると個々のエゴが集まったものという解釈もあります。特に、個人ごとの能力が高いメンバーを集めた場合はその傾向が強く、全体から見てもそのように見えます。たとえるなら、能力の高いスポーツ選手を集めたプロチームの中にはそれに当たはまる場合があります。個人の結果を求めるメンバーばかりになると、個人成績を優先してしまうチームになってしまうのです。精鋭を集めたチームが必ず勝てるわけではないのを見ると、こうした個人エゴの集まりはチームの結果と連動しないのを感じます。

経営の視点では

経営の視点から見ると、経営はあくまで集団としての結果で判断されます。リーダーの業績も同じく、そのリーダーが統率する集団全体の結果として判断されていきます。しかし、組織に優秀なメンバーが多く集まるほど、個々のエゴは強くなる傾向になり、それぞれの思惑や欲望が激しくぶつかり合うこともあるのです。全体としての成績を求めているのに、個人同士でぶつかり合う組織に変貌してしまうケースです。

こんなときのリーダーの役割

そんな個々のエゴが集まった組織をどのようにまとめ上げ、一つの集団として結果を出せるように運営していくか。その役目こそがリーダーに求められる最も重要な資質なのかもしれません。ここにリーダーシップの本質とその重要性があると思うのです。

リーダーには単に技術力や専門知識だけでなく、人間性も求められるのは、組織が個人エゴの集まりだからでしょう。特にエゴの強いメンバーを抱えるリーダーは、そのメンバーたちから尊敬される存在である必要があります。そうでなければ、それぞれのエゴがぶつかり合い、集団としての結果を出すことはできないと思うのです。

持っていないものを持つ

こんなとき、リーダーに求められるのは、メンバーが持っていないものを持つことです。それは単なる専門知識や技術ではなく、人間性や配慮、気遣いといった内容です。リーダーが他のメンバーにない特性を持つことで、組織内での信頼と尊敬を獲得し、組織全体としての結果を引き出すことが可能となると考えています。能力でかなわないメンバーが在籍している場合もあるでしょう。そのときに、能力で競っても負けるだけです。しかし、能力面以外のところで勝るものがあればいいのです。

まとめ

エゴの強いメンバーが集まる組織では、集団としての成果を上げることがなかなかできないケースがまわりでも見かけるのではないでしょうか。「大変だよな、あのチームは」と言われているでしょう。しかし、そんな個性の強いメンバーがいた場合、ひとつにまとまれば他を圧倒するような結果を出すようになります。スポーツでも世界レベルでトップクラスにランクインするケースがそれにあたります。そう考えれば、個性の強いメンバーを集めながら、方向性をひとつにできるリーダーを目指すのもいいのではないでしょうか。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆