史上最高値

米国の住宅株が、今、史上最高値を記録しているというニュースが流れてきました。これは少し驚きのニュースとしてとらえています。なぜなら、現在米国は金利を前例のない速さで引き上げている最中であり、一般的には住宅市場が沈静化し、住宅株が下落すると予想されていたからです。しかし、住宅株は上昇を続け、逆に熱を帯びているのが現状。

これは米国中央銀行(FRB)にとっても誤算だったのではないでしょうか。なぜなら、FRBの戦略は、金利を引き上げることで経済を冷却し、同時にインフレを抑制すること。しかし、この戦略の効果は部分的。特にコストプッシュ型のインフレは悪性インフレの一つであり、予測通りに容易には沈静化しない状況となっています。

米国インフレ抑えられるのか

2019年から始まった自粛期間に、米国でも給付金が支給される政策が取られていました。その政策自体は、経済を支えるための適切な措置だったと思います。しかし、それが引き金となってインフレが引き起こされるとは、当時は予想できなかったようです。インフレが予想外に進行したため、FRBは急ピッチで利上げを進めました。しかし、その対策が始まったのはインフレがすでに発生した後であったため、反応は遅れ、その影響はまだ持続しています。

最近、FRBは一時的に利上げを停止決定をしましたが、今後2回の利上げを予告しています。これは、インフレの進行を見極めながら、適切なタイミングで対応していくというメッセージだと受け取られます。インフレ対策は難易度が高く、時には政策の効果が見えにくいこともあるので慎重な姿勢を崩すことがありません。

日本は

日本も米国と同様の状況に直面する可能性があります。日本のインフレ率は米国と比較してまだ低いため、インフレ対策を実施していません。しかし、不動産市場や株式市場の状況を見る限り、今後、後追いでインフレがさらに進行する可能性は否定できません。

気になるのは、日本の株式市場です。平均株価が3万円台を回復し、さらに「4万円台まで行く」「8万円に到達してもおかしくない」などの情熱的な予想が一部メディアで報道されています。今年2023年は大きな動きが出るとは予想していませんが、海外の動向を見る限り、日本も遅れてインフレが進行する可能性は十分に考えられると感じています。

まとめ

日本はずっと変化なし。それが安定感と言われるようになっています。米国、欧州は不安定ながら何も発生していない状態。その中で日本が特異な存在であり、注目もされる。ただ、ずっと続くかはわかりません。急な方向転換はあるでしょう。トリガーになるのは為替の動向次第です。為替介入をするのかしないのか。そこが直近では気になるところです。

「米住宅株が最高値、高金利でも需要 米景気の底堅さ映す:日本経済新聞」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB268U10W3A620C2000000/

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆