経営課題の現状

最近は経営に関するヒアリングをする機会が増え、あらためて、現在の経営課題について確認している状況です。経営課題として思い浮かべやすい所は人手不足の問題です。リベンジ消費が始まっていますが、サービス業では人手不足が続いているのが報道されているのでわかると思います。ではその他で直面している経営課題とは何でしょうか。

リスタートもある承継への取り組み

やはり事業承継の問題がここにきてかなり動き出しています。承継される方を対象とした経営塾の講師依頼もあり、その時期だと感じます。承継問題は、企業存続を左右する問題でもあるので、経営課題としては重要度が高いと感じています。承継する人がいないケースは、休業をするか、廃業するしかないからです。しかし、緊急度が低いため、何もしていないケースもあるようです。その一方で、以前から準備を進めているケースは、それなりに承継が進んでいます。このちがいは何でしょうか。

事業承継が進まない理由としては、さまざまありますが、おそらくこの理由が原因だと感じます。それは経営者に明確な定年制がないからです。ご自分で定年の年齢を決めるのは、難易度が高く、実際に60歳までに承継すると言いながら、65歳まて先延ばし、結局のところ70代まで続けてしまったという事例もひとつだけではありません。

またリーマンショック後に承継が進んだが途中で止まったケースもありました。そのようなケースでも最近になって承継への取り組みがリスタートする動きが見られるのが最近の特徴です。

タイミングはわからない

承継の時期に関しては、正解がありません。ベストタイミングかどうかは終わってみないとわかりません。なので、早めに対応している企業が余裕を持って取り組んでいるように感じます。

ただ、こうしたセンシティブな内容はできる限り、先延ばしにして、最終的に切羽詰まったところで対応するケースが多いのではないでしょうか。目先の経営に関しては緊急度が高いのですが、将来についてはどうしても緊急度が低くなってしまうのが原因でしょう。計画的に進まない経営課題の1つだと感じます。

まとめ

事業を承継する課題については、タイミングにかかっているでしょう。いくつも事例を見てきましたが法則性はほとんどありません。再現性の低い領域です。承継されるかたが経営者としての知識を増やすことは再現性がありますが、経営できるかは別の領域になってしまうからです。しかも、それぞれの会社でスタッフもちがうので似ていても対応がちがうのです。ただポイントはあります。組織の安定とビジネスモデル構築です。両方とも5年後10年後を見据えた内容に取り組めば失敗は無くせるでしょう。ここで判断を見誤ると、やはり5年後10年後に苦労することになります。こうした長期的な将来のことは感知する人が少ないため、説明しても理解を得られることが少ないのが、もうひとつの課題と感じています。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆