問題が浮き彫りに

世界が緊急事態宣言から少しずつ回復してきて、日常生活も以前のような形に戻りつつあります。それに伴い、職場でも昔ながらのコミュニケーションの形式、例えば社内の会食が再び増えてきていることを感じている方も多いかもしれません。しかし、同時に、飲み会でディスる、つまり他人を否定的な言葉で軽蔑する人たちの問題も浮き彫りになってきました。
こうしたネガティブな行動は、集団の雰囲気を下げ、参加者全員に不快な思いをさせます。そんな場所には誰も行きたくない、と感じるのは自然な反応だと思います。この問題に対する対策を考える前に、まずはなぜ人々が他人をディスるのか、その心理学的な背景を理解することが重要です。心理学的側面から見ると、他人をディスる理由として、以下の要素があります。

理由とは

  1. ディスる人には、それなりの理由があります。たとえば
    ①自己確認のため:(他者比較による自己確認)
    自分自身の地位や価値を確認するために行なっています。特に、他人を下げることで自分を上げる行動です。自己の価値を他者との比較によってしか確認できないと感じているかもしれません。
  2. ②劣等感から:
    劣等感を隠すために、他人の欠点や間違いを強調することで自分の不安を紛らわす行動です。特に、アナログ派、デジタル派に分けようとするのが最近の特徴です。アナログ派がデジタル派を批判するのは予想がつくのではないでしょうか。20年以上前のパソコン普及期(Windows95時代)の再来だと感じています。時代は繰り返されています。
  3. ③人間関係の確立:
    自分の地位を固めるため、または集団内でのリーダーシップを示すために行う行動です。派閥(はばつ)形成の論理です。自分の意見を受け入れるかどうかを見極めるために他人をディスっています。結構、無意識で行っているので本人には自覚がないことが多いですね。

対策は

これらの背景を理解することで、ディスる行動をする人への対策も見えてきます。では、具体的にどのような対策が有効なのでしょうか。

  1. 1)その行動が不適切であることを伝える:
    この行動は周囲に不快な思いをさせ、飲み会の目的である「将来を語る」ということを阻害します。適切な場と時間を選び、その人に優しく、しかしはっきりと伝えましょう。
  2. 2)チーム全体での認識統一:
    社内会食のルールを明確にし、それを皆で守ることが大切です。言葉遣いに気をつける、互いに尊重するなどの基本的なマナーを再確認する時間を設けると良いでしょう。ネガティブ発言はNGにすることです。
  3. 3)リーダーの役割:
    リーダーが適切な行動を示すことで、メンバーに大きな影響を与えます。リーダー自身がポジティブな行動を示すことで、チームの雰囲気も変わります。それ以外の行動は「カッコ悪い」と定義してしまいましょう。良い悪いではなく、カッコいい、カッコ悪いで伝えていくことです。

まとめ

社内会食は強制ではありません。自分が不快に思う場所に無理に参加する必要はないと思います。自分の感じた不快感をリーダーや信頼できる人に相談できる雰囲気も重要。社内会食は、コミュニケーションを深め、チームの絆を強めるための場所であり、そこで起きるべきことは尊重と思いやりの心を持つことです。社内会食が職場での繋がりを深める手助けになることが理想です。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆