最大の課題は

企業経営者の最大の課題の一つは、変化に対する柔軟な対応と、必要に応じた戦略の方向転換の能力が求められるということかもしれません。この考えは、ビジネス環境が常に変化しているという現代の事業環境において特に重要です。リーダーが固定的な戦略に頼りすぎると、企業のマイナス成長や成長の停滞につながる可能性があるためです。つまり、持続的な成長と成功は、企業が変化に対してピボットできる柔軟性に依存していると言えます。

柔軟性の必要性は2つに分かれる

この柔軟性の必要性の感じ方は2つに分かれます。成功している人と失敗した人ではどちらが柔軟性の必要性を感じるでしょうか。

何度も失敗した後に戦略を変えることは比較的容易です。その一方で、一度成功を味わうと、その「勝ちパターン」に固執しやすくなるという傾向も明らかです。短期的な成功が「この勝ちパターンでどこまででもいける」という過剰な自信を生み出し、その結果、企業が新しい変化に対応する能力を阻害する可能性があるのです。

見つけたという誤解

さらに、一定期間、例えば3年や5年間、連続で成功を収めた企業は、特に「成功パターンを見つけた」という誤解に陥りやすいです。しかし、冷静に考えてみれば、自社の成功パターンが他者に模倣され、その結果、競争優位性が低下し、追いつかれている可能性があることは確かなはず。そこを認識することは不可欠ではないでしょうか。

こうした課題に対する解決策としては、新しい視点を持つことが挙げられます。企業が成功パターンを見つけた場合、それを継続することはもちろん重要ですが、同時にそのパターンの価値が低下した場合の対策も考えておくこと。事実、永遠に通用するビジネスの勝ちパターンなどは存在しないからです。

リアルオプション理論

この観点は、「リアルオプション理論」によっても裏付けられています。「不確実性が高い環境下では、企業は柔軟性を持つことによって将来の不確実性を最小限に抑えることが可能であり、これは継続的な成長を達成するための重要な要素である」と述べています(McGrath, MacMillan, & Venkataraman, 1999)。

まとめ

予想通りに進行し、結果も出る時期があります。しかも数年続くこともあります。そのとき、慢心するのが普通です。どうしても自己評価が高くなってしまいます。何をやってもうまくいく、成功すると思ってしまいます。勝ちパターンができた、成功パターンを見出したと思うこともあるでしょう。しかし、その状態が永遠に続くことはありません。どの企業もそうだと思います。それを防ぐには「柔軟性」というキーワードで考えることだと感じます。これからも不確実性の高い時代が待ち受けています。柔軟さで乗り切りたいところです。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆