失敗談
とある企業の元社長のインタビューから抜粋しました。
・『自分のやり方でやります』という態度
・当時の技術者は“うぬぼれ”があったのではないか
・分かっていなかったんだと思います
・やっぱり謙虚さに欠けていたところがあると思います
この会社の名前は三菱航空機株式会社です。国産初ジェット旅客機MRJを開発していた企業です。このMRJの初飛行はライブ映像を見ていました。印象深いできごとだったと感じています。そのMRJの開発は頓挫し、この会社も現在は精算中。当時の社長が語ったのが上記の内容です。かなり直接的表現であり、当時の想いが率直に語られています。
得られるものが多い
失敗談より成功談を求める人が多い。成功事例をマネれば成功しそうな気がするからです。しかし、実際は逆。得られるものは失敗談からの方が多いのです。ただ、読んでいて楽しいのは成功事例です。途中で困難がありながらギリギリのところで成功するパターンはストーリー性が高いので好んで読まれる傾向にあります。失敗談は、内容的に若干暗い雰囲気があるので、読んでいておもしろいものではありません。そのため敬遠される傾向にあるのです。
わかっていない
「この違いをわかっていなかった」「ここを理解していなかった」と後から振り返るとポイントがわかります。ということは、そのポイントを見逃さず、理解を深めておけば失敗率を下げることができると思います。MRJの開発においても、理解不足だったのは、「飛行機の開発と型式証明取得はまったく別物」というところ。飛行機が完成すれば型式証明も取得できるだろう、という甘い見込みが災いを起こしたのです。開発者にとっては、飛行機の開発が主であり、型式証明取得の優先順位は低かったのではないでしょうか。結局のところ型式証明が取得できず計画が延期の連続になり、最終的に開発中止となったのです。累計の開発費は1兆円。高い勉強代でした。
まとめ
謙虚さに欠けていた、と表現されていたのが印象的でした。謙虚さが欠けていたことで、実力がありながら結局は完成しなかったのです。実力と結果が連動しない事例となりました。完成していれば代表的な日本の産業のひとつになっていたでしょう。
MRJ計画失敗、技術者が「謙虚さに欠けていた」 元社長が激白 破綻の原因はたった1枚の書類
https://news.tv-aichi.co.jp/single.php?id=2699
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆