ゼロ革命、ゼロコース

証券業界の中で手数料に関する大きな動きが見られます。大手のSBI証券と楽天証券が手数料の無料化を発表したことは、業界内外で大きな話題となっています。2023年10月以降は手数料が無料になります。SBI証券は「ゼロ革命」を称して公開しています。楽天証券は「ゼロコース」と名付けています。この動き、今のところ2社だけですが他社は追随するのでしょうか。

懐疑的な他者

証券業界の他社はこの動きを歓迎しているわけではありません。マネックスグループの会長は、この手数料無料化に対して懐疑的な見解を示しています。「手数料無料化は波及しない、どう考えても赤字」とのコメントを発表。手数料が業界の収益の一部であることを考慮すると、無料化による収益の減少は避けられないので追随したくないと解釈しています。

業界に安心感が出るのか

投資家は、取引ごとの手数料を気にしながら投資してきました。頻繁に取引をするデイトレーダーにとっては手数料が大きなハードルとなっていたことは間違いありません。このような背景の中で、SBI証券と楽天証券が手数料無料を打ち出したことは、多くの投資家にとって喜ばしいニュースではあります。ただ、他は追随しないで静観するのではないでしょうか。マネックス社が早々にコメントしたことで、安心感も出ると思います。これ以上の追随はないだろうと予測できるからです。

まとめ

このように、手数料無料化は業界の未来にどのような影響をもたらすのか、注目の的となっています。投資家にとってはメリットが多い一方で、業界全体としての収益構造の変化や、サービスの質に関する問題も生じる可能性があることを忘れてはならないでしょう。収益低下が続き、消耗戦になれば、終わりのない競争がスタートしてしまいます。どこかの企業が倒れるまで続くからです。それも戦略のひとつですが、できれば避けたいところ。競争激化にならないよう沈静化させる動きの方が多くなるかもしれません。それにしてもこの時期に手数料無料を打ち出してくるとはシェア争いに勝って是が非でも高シェアを確保したいのでしょう。企業の個性が出ており、その戦略を選んでくるのも納得です。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆