メールと対面のコミュニケーションの差

対面とメールの違い。なんとなく感じています。たとえば、こんな場面のときはどうでしょうか。人に何かを依頼する場面です。依頼をして承諾してもらえる依頼成功率に差があるのでしょうか。メールと対面の依頼成功率の差は何倍になるのでしょうか。

カナダのウォータールー大学の研究チーム、マフディ・ロガニザド氏(Mahdi Roghanizad)を中心とする研究者たちは、興味深い研究結果を報告しています。それは、メールでの依頼と対面での依頼の成功率に大きな違いがあることを明らかにしたのです。

You’re Less Persuasive Than You Think Over Email

https://www.psychologicalscience.org/news/minds-business/youre-less-persuasive-than-you-think-over-email.html

7倍以上になる

具体的には、メールでの依頼の成功率が、対面と比較して約7-35倍も低いという驚きの結果が得られました。この原因として、メールを通じたコミュニケーションでは、自分の視点のみが強調され、共感の要素が不足しているため、受け取り手にとって自己中心的な依頼と受け取られやすい、と研究チームは指摘しています。

この研究の詳細は、2017年3月31日に「Journal of Experimental Social Psychology」という学術誌に掲載された内容です。コミュニケーションの手段としてメールをよく利用する人にとって、この情報は有益です。

結果から考察すると

メールでの依頼の成功率が対面より7倍から35倍も低いという事実から、以下の点が考察されます。

  1. 非言語的なコミュニケーションの重要性:
    対面のコミュニケーションでは、言葉以外のジェスチャーや表情、トーンなどの非言語的な要素が含まれる。これらは相手の意図や気持ちを伝える上で非常に重要だと考えられる結果です。
  2. 共感の欠如:
    メールは文章だけで情報を伝達するため、相手の感情や状況に対する共感が伝わりにくい。共感が伝わることで、依頼に対する協力意識が生まれやすくなるのでしょう。人はリアルでお願いされると弱いものです。
  3. 誤解の可能性:
    メールは受け手が読む時点での解釈に左右されるため、意図しない誤解を生む可能性が高まります。どうして依頼をしてくるのか。何が依頼の裏には意図があるのだろうか、と心配になってしまうのです。
  4. メールの過度な利用:
    多くの人が日常的に多数のメールを受け取っているので、重要なメールも見逃されやすいか、単なる「タスク」として処理されがちです。重要度がわからなくなることもあるのです。簡単に、軽く依頼されているのかと思ってしまうケースも多いのではないでしょうか。本気で考えて依頼しても、そのように受け止められないことが考えられます。

まとめ

メールは情報共有や伝達には便利です。しかし、依頼をするには不得意なツールです。これは誰もが感じているのではないでしょうか。依頼をする場合、その依頼が重要であればあるほど対面の方が成功率が高いのです。しかも10倍近い差が出るのであれば、遠距離であっても対面を設定するのも方法かもしれません。遠距離の方が「よく来てくれた」と感じ、依頼を受けてくれる人もいると思います。すべてを効率という解釈で判断しないようにしたい領域です。

——————————-
スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆