ソフトウェアの戦略

デジタルツールを提供する企業が増えてきました。製造業の会社が特定業界向けのソフトウェア(SaaS)を提供しているケースを事例として取り上げてみます。ソフトウェアの作り込みは完成している場合で、その後の販売戦略が不明瞭なケースです。法人向けのソフトウェアになりますが、押さえておくべきポイントがあるのでまとめてみます。

普及しない理由

法人向けのSaaSが普及しない理由は何だと思いますか。法人向けのSaaS(Software as a Service)が普及しない理由はいくつかあります。以下にいくつかの理由を考えてみます。

  1. セキュリティ上の懸念
    法人は顧客データや企業機密を保護する必要があります。クラウドベースのサービスを使用することで、データのセキュリティが懸念されることがあります。企業は自社のデータを管理・保護するために、クラウドベースのソフトウェアに対する信頼を築く必要があります。大企業ほど、セキュリティを気にするので、提供する側もある程度の規模を求められるケースがあります。
  2. カスタマイズの制約
    法人は、自社の業務プロセスに合わせてソフトウェアをカスタマイズすることがよくあります。しかし、一般的なSaaSソリューションは、カスタマイズの自由度が制約されていることがあります。このため、法人はソフトウェアの導入に躊躇するか、自社要件に合わせたカスタマイズの開発を希望します。カスタマイズを選択すると費用が予算オーバーすることが多々あります。
  3. データの所有権
    法人は、自社のデータに対する完全な所有権を確保したいと考えることがあります。クラウドベースのSaaSソリューションを使用すると、データの管理や所有権がベンダーに移ることになります。一部の法人は、データの所有権をコントロールするために自社内でソフトウェアを運用することを選択しがちです。

価格設定

他にも価格設定がポイントになります。価格戦略としては、低価格、高価格の2つに分かれますが、法人向けのSaaSはフォローの工数がある程度かかるので、低価格で提供するには無理があると言われています。高価格帯しか残らないと言われている世界です。ということは、高価格帯で優位性を出せるような内容にすることがここでは優先されることになります。

まとめ

特定の業界向け、しかもSaaSに関しては、戦略は限定されているように感じます。成功の道が限定されているのです。ということは、やることは決まっており、スピードよくPDCAを回していくことだけになります。このような場合は人に依存する領域も増えるので、採用教育がポイントです。

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