使用年数が過去最高に

計画的陳腐化の限界が来るかもしれません。耐久消費財の使用年数が長くなり、過去最高になっています。耐久消費財は長期使用される製品のことですが、主に「家電製品、家具、自動車」などを指しています。こうした製品の使用年数はだんだんと長くなる傾向にありますが、物価高によってさらに使用年数が更新されている状態です。

車や家電など耐久消費財、使用年数過去最長に 物価高受け 中古シフトも進む

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO76825340Z01C23A2EA5000/

計画的陳腐化とは

計画的陳腐化とは、意図的に製品を陳腐化させる現象です。メーカーは常に競争力を維持し、売り上げを増やすために様々な戦略を展開してきました。その中でも、新製品の投入による買い替え促進は一つの重要な手法となっています。

メーカーが新しい製品を出すことで売り上げを増やしているのは明確です。新製品は、先進的な機能やデザインの改善、より高性能なスペックなど、顧客にとって魅力的な要素を持っています。これにより、製品の需要が高まるようにしてきたのです。

また、メーカーは旧製品からの買い替えを促進する計画を立ててきました。特に、新製品のリリース時には、旧製品を陳腐化させるための戦略を取り入れることが一般的です。これにより、顧客は古い製品が最新の技術や機能面で劣ると感じ、新製品への買い替えを検討するようになります。スマホに関しては、新製品が出てくると旧製品のスピードが遅くなっているように感じるのも、人は新しい製品へのプラスイメージが強いからでしょう。

所得伸びない状況で

平均所得が伸びていないと言われる日本で、耐久消費財の使用年数が長くなることは自然な現象です。しかも製品の品質も高いので長期間の使用に耐える製品も多いのが特徴ではないでしょうか。そんな中で製品を提供しているメーカー側は製品リニューアルを仕掛けることで計画的陳腐化をはたらきかけてきました。しかし、それも限界になる日が来てしまうのではないでしょうか。

新しもの好きの日本人と言われてきたのも、ゆくゆくは「モノを大切にする日本人」と置き換わるかもしれないのです。耐久消費財を買い替えしなければお金の支出は減ります。長く使えば使うほどお金は貯まるのです。逆な側面から見れば、買い替えするほど仕事を増やす必要が出てきます。そこまでして生活を豊かにする必要はない、と判断する人の割合が今後増えていくと考えています。

まとめ

iPhoneは買い替えしなくてもいい、と考えるようになりました。買い替えしなくてもいい、と言う人も増えています。これが計画的陳腐化の限界の象徴です。進化が感じられないのも原因のひとつです。イノベーションを起こす次の製品を待つしかなさそうです。このように見てくると今後、新しい製品を買っていただくためにはハードルが上がっていくのです。買うためのきっかけや理由が必要です。それをクリアするための製品づくりが求められています。

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