金利上昇の波
長い低金利の時代を経て、金利のある世界が再び訪れました。この変化の最も顕著な証拠の一つが、大手銀行の貸出利ざやの増加です。7年ぶりに改善されました。「大手銀行の貸出利ざやが7年ぶりの好調」として表に出てきています。金利が上昇すると、即業績にプラス影響があるのがわかります。やはり金融業は金利が前提で成立しているビジネスです。
金利上昇の影響
金利の上昇は、銀行の貸出利ざや、すなわち貸出による収益と資金調達コストに直接影響を与えます。金利上昇分が、銀行の収益性を向上させ、業績が好転するのです。当たり前ですが、ようやく本来のビジネスモデルに戻ったといえるでしょう。実際、大手銀行はこの好循環の恩恵を受けており、今期の業績に収益増加が見込まれています。予想されてはいましたが、収益改善の幅が大きいと感じる人もいるのではないでしょうか。
借り手への影響
一方で、借り手にとっては金利の上昇が負担増につながります。これまでの低金利環境に慣れていた企業は、返済額の増加に直面することになります。金利アップ分を補う収益構造への転換が必要になります。価格アップするしか方法がない企業もあるのではないでしょうか。収益性を問われる時期が来ることになります。賃金もアップ、金利もアップと経営にとっては負担が増える時期になっています。ただし、この状況は適正な金利ある世界への「戻り」とも解釈でき、市場の回復を示す一面でもあります。
金融市場の今後
金利の上昇と銀行の収益増加は、金融市場の健全性回復の兆しとして受け止められています。しかし、借り手の金利負担増加による経済全体への影響も考慮が必要なのかもしれません。タイミングの問題なのですが、企業業績が好調なときに金利上昇となるとは限らないのが現実です。業績が同じであっても金利上昇すればそれだけ負担は増えていくことになります。収益性という課題を突きつけられる時期が来ています。
まとめ
金利の上昇は、金融市場に新たな動きをもたらし、銀行の貸出利ざやの改善という形で顕著に表れました。この変化は、銀行だけでなく、借り手や経済全体にも影響を及ぼし変化を早急に求められる状況になったのです。こうしたタイミングは待ってくれないですし、先送りすることもできません。残念ながら追随するか先回りするしかないのです。
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