金利ここまで上昇する

財務省の試算です。国債の利息の支払い分の予算計上が2024年は9.6兆円になるとのこと。この数字の算出には、想定金利1.9%が用いられています。現在の金利は0.7%台で推移しているので、やや高めの設定と感じます。別の見方をすれば、今後1年間で1.9%まで金利上昇してもおかしくないということ。なので、経営数値のシミュレーションは、すべて金利1.9%程度は想定内になります。

では、その先はどのような金利になるのでしょうか。

その先は

財務省の試算によると、金利の想定は

  • 2025年度に2.1%
  • 2026年度に2.3%
  • 2027年度に2.4%

と上昇していくと想定されています。さらに、2033年度の利払いにあてる金額は事務経費などを含めて24.8兆円にまで膨らむと公表されています。ちょっと数字が大きく、特に2033年の利払い額は現在の税収の1/3程度にまで到達することになります。税収の3割が返済に当てているような感じでしょうか。

影響がある

金利上昇は、企業の借入コストを押し上げ、設備投資や雇用に悪影響を及ぼす可能性があります。対処としては、値上げが主軸になるでしょう。しかし、どこまでも値上げができるわけでもなく、いずれ値上げの限界が一旦来るはずです。米国が最近では値上げの限界に来ているのではないかと言われており、部分的ですがその兆候が見えます。

また、家計の借入返済額も増加し、消費の抑制につながりかねません。住宅ローンは影響を受け始めるとちょっとしたパニックになる可能性も否定できません。できるなら今から対応しておいた方がいいでしょう。

こうした状況が長期化し、金利情報に対応できなければ、日本経済の成長力が低下する可能性があります。問われるのは金利上昇への対応であり、そのための経営の変化です。

まとめ

金利2%台になることを想定したコスト計算を一度しておきたい時期がやってきました。どれだけコストアップするのか、影響がどこまであるのか、今から試算しておけば慌てることもないでしょう。また、コストアップに対応する施策(価格設定、ビジネスモデル修正など)も今から考えておくことだと思います。ここで遅れが生じると後から挽回するのに労力(パワー)がかかります。挽回するのに痛みを伴う可能性も高くなります。そんな時期が来ているのを感じます。

財務省のもともとの試算では金利の想定を25年度に2.1%、26年度に2.3%、27年度に2.4%としていた。33年度の利払いにあてる金額は事務経費などを含めて24.8兆円と公表している

国債利払い、上振れ8.7兆円 金利1%上昇なら:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79804620V00C24A4EA1000/

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