新品より

中古車市場において20代と30代のZ世代が大きな存在感を示しています。新車よりも中古車を選ぶ傾向が強く、その理由には経済的な面と賢い消費行動があると感じました。

中古車は新車と比べて価格が安いことが大きな魅力。新車価格が上がっている中で、新車にこだわらない選択をしていると思います。自動車は高級品という位置付けに変わったのを感じます。必需品だった自動車が時間の経過とともに、高級品へと移行したと思っています。学生時代でも自動車は所有するものではなく必要なときにレンタルするもの。利用するものだと認識していたはず。働くようになっても所有ではなく利用するという価値観は変わっていないように感じます。

期間限定の

そのため、Z世代は車を長く所有するのではなく、値崩れする前に売却することで、お得に乗り換えることを重視します。期間限定の所有であり、期間限定のレンタルともいえるでしょう。モノを購入するときに売却時期や売却金額を推測する行動が当たり前のようになっているのです。

アンケート結果によると、20代の平均車両所有期間は3.9年、30代は5.7年と、50代の7.6年や60代の7.4年と比べて短いことが明らかになっています。車の価値が下がる前に売却し、新しい車に乗り換えることで、賢く車を利用しているのです。スマホと同じ感覚といいのかもしれません。3年後に新しいスマホに取り替えるプランのような感覚なのでは、と感じています。中国のスマホメーカー、シャオミが電気自動車を出してきました。スマホと電気自動車は同じメーカーから発売される時代なのです。買い方もスマホと自動車が同じようになるのも当然なのかもしれません。

残価8割

Z世代が中古車を選ぶ理由として、残価設定の高さも挙げられます。人気車種の中古車は、新車購入時の価格に対して高い残価率を維持しています。例えば、トヨタの「ランドクルーザー」は5年経過時点での残価率が83%、「アルファード」は81%と高水準です。驚くほどの残価率。これなら高額自動車でも購入する追い風になるでしょう。価値の高い資産として判断していると思います。

まとめ

Z世代が中古車市場を牽引している背景には、経済的な理由だけでなく、賢い消費行動という裏側を感じています。車を所有することよりも、利用することを重視し、残価が残る価値の高い中古車を選ぶのを選択しているように見えます。このような消費スタイルは自動車だけでなく他でも見られるようになってくるでしょう。次は住宅でしょうか。消費スタイルが変化する予感がします。

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