回帰現象
AIの普及が進むにつれ、人間に求められる能力も変化しつつあります。かつては資格や技術の習得がキャリアアップのカギでしたが、これからは人間力、コミュニケーション力、交渉力といった、より人間らしい能力の重要性が高まっていくでしょう。最近、そんな論調が増えているのに気がつきます。これは、AIの発展によって人間の価値が失われるのではなく、人間ならではの能力により注目が集まるようになるという意味で、ある種の回帰現象と個人的には考えています。
振り返ると
歴史を振り返ってみると、過去の産業革命においても、機械化によって一部の仕事が代替されました。その後、機械化もされており、代替、もしくは協業といった労働になっています。その後、パソコンPCの普及からスキルの中にプログラミングが入ってきました。ここは自動化されていない領域だったので、プログラミングスキルが重宝されていたのです。しかし、AIによって部分的代替が可能なことがわかってきました。そうなると、労働における「人間=スキル」という価値は価値は減少していくことになると見込んでいます。
求められるもの
求められる能力とは具体的にどのようなものになるのか。まず挙げられるのが、、文系的、デザイン的能力です。共感力、美的センスなど、AIが苦手とする領域の能力は、希少性が高く、価値が認められやすい。また、関係調整能力、チームワークといった、人間関係に関わる能力も重要になってくるでしょう。
環境と機会で
ただし、これらの能力は測定が難しく、個人差も大きいのが特徴です。簡単にこれらの能力を伸ばせるわけではなく、教育や環境によって差が生まれる可能性もあります。そのため、これらの能力を育む機会を増やし、人間として活躍できる場所を創造していくことが優先になるでしょう。
残る領域
知識の詰め込み教育は意味が低くなります。それより、人とチームを組んで、即行動することのほうが価値が高くなります。特にゼロからスタートさせ、目標に達成するチーム運営ができる力は価値が高くなるでしょう。実践型のチームワーク力です。想像していただければわかると思いますが、とても時間と手間がかかる内容です。ということは、手間がかかる、時間がかかることが人が関わることのできる領域として残るのです。
まとめ
AIの能力を理解すればするほど、人間に残される領域を意識するようになります。専門家ほど「コミュニケーション力」を強調するようになりました。AIを知れば知るほど、そうなるのかもしれません。ただ、すぐにそうなるわけではなく、年数をかけてそこに到達していくことになるでしょう。その間は、AIを使いこなす人に価値が発生することになります。ツールを使いこなす人やAIを導入できる企業が先に行くことになりそうです。
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