惑わされるスタート時

事業戦略を立てて経営をスタートさせるとき、目標に向かって一直線に進めれば理想的ですが、実際には様々な情報や機会が入ってきます。特に評判の良い商品やサービスを扱っている企業ほど、早い段階から提携やコラボレーションの話が舞い込んでくるものです。それが良い展開だと感じるのですが、かえってマイナスになることもあるので経営は繊細です。どう判断すべきなのか。スタート時のプロセスをまとめてみました。そうすることで、基本形が理解でき、基本から外れているか判断できるようになると思います。

基本プロセス

情報が入りやすくなっているので、惑わされることがスタート時に多くなりました。基本形は次のプロセスです。

  1. 事業スタート時は事業戦略に集中
  2. 損益分岐点を超えるまでは、1つの路線に資源を集中投入
  3. 他の選択肢に目移りすると、エネルギーが分散し、目標達成が必ず遅れる
  4. 損益分岐点を超えて余裕ができてから、新しい展開を考える
  5. 提携やコラボレーションは事業拡大の有効な手段だが、タイミングが重要
  6. 評判の良い製品・サービスほど、早い段階で魅力的な話が来るが慎重にタイミングを判断すべき
  7. 経営者は、目の前の機会と長期的な戦略を見極める洞察力から判断をする

最初に

事業を軌道に乗せるまでの初期段階では、本来の事業戦略に集中することが何よりも重要。新しいコラボや提携の話がどんなに魅力的に見えても、本筋から外れてしまっては、損益分岐点を超えることが段々と先送りになっていきます。不思議ですが、そのような事象を何度も見ています。2年で黒字にならない事業は5年経っても赤字、と言われるのは、こうした経験則から出てきた言葉でしょう。

損益分岐点を超えるためには、1つの路線に集中し、そこにすべての資源を投入し続けなければなりません。他の選択肢に目移りしてしまうと、エネルギーが分散し、本来の目標達成が遅れてしまい分岐点に達しないのです。わかっているけど、集中できないのが人です。そこは毎日の振り返りで軌道修正するのが理想です。

余裕ができて初めて

ある程度事業が軌道に乗り、損益分岐点を超えて余裕ができたときこそ、新しい展開を考える時期です。提携やコラボレーションは、余裕と比例して進めていきましょう。この辺りの判断はかなり重要。なぜなら、評価の高い製品・サービスほど、初期段階から魅力的な話が来るからです。大手からの提携であったり協業であったり。しかし、初期段階では、意図的に先送りすべき内容だと感じています。目の前の機会に飛びつくのではなく、戦略的に判断することです。

まとめ

経営者には、目の前の機会と、長期的な戦略とを見極める洞察力が必要とされます。集中する、という忍耐がここでは必要なのかもしれません。これを書きながら「集中の忍耐」が思い浮かんできました。まわりからのアドバイスもとてもありがたいのですが、結果が出ている手法ならば、集中してしまうのも戦略です。ブレないで一気に成長してしまうのが理想です。

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