関心が集まっている
最近の日本経済はインフレ傾向にあります。そのため、賃金上昇への期待が高まっています。給与がアップしなければ、値上げに追随できないので、関心が集まるのは当然の成り行きです。注目されるのでメディアで取り上げられる回数も増えています。
日本政府も、デフレ脱却と経済の好循環実現に向けて、賃上げを促す政策を打ち出しています。賃上げする企業に助成する施策を複数打ち出しているのです。かなり強制的に賃上げする雰囲気になっているのは事実。2024年は転機の年となるでしょう。
実態は
では、実際の賃上げ率はどのような状況なのでしょうか。連合の賃上げ集計では、「企業のベア平均3.57%」「賃上げ中小も3%超え」といった結果が報告されています。一方で、帝国データバンクの調査では、賃上げ率が「5%未満」の企業が全体の6割を占め、最多は3%台の2割、「据え置き」も2割弱あったと公開されています。
- 賃上げ率が5%未満の企業が全体の6割を占めている
- 最も多い賃上げ率は3%台で、全体の2割を占めている
- 賃上げを実施しない「据え置き」との回答も2割弱あった
- 中小企業の賃上げ率は3%を超えているとの報道もあるが、多くの企業では5%未満に留まっている
- 賃上げ率の分布は、高い水準に偏っているわけではなく、据え置きや低い伸び率の企業も一定数存在する
- 賃上げ率の企業間格差が示唆されており、業種や企業規模による違いがある可能性がある
気になるのは
この内容から個人的に気になったのは、「据え置き2割」という内容です。この2割の企業は、据え置きする決断をしているのですが、企業収益が増えていない、収益減少が要因だと思います。勝ち負けで表現するならば、負けている状態。危惧するのは負けている企業から人財が流出するであろう将来の姿です。賃金アップせず据え置いた場合、優秀な人財から転職してしまうでしょう。負ける企業がさらに負ける状況に陥るスパイラルです。勝ち負けがはっきりし、収益の高い企業はさらに高くなり、収益が低い企業はさらに低くなる。これは、予想通りの二極化であり、さらに二極化が開いていくのが予想できます。
まとめ
ベースアップが企業の将来を左右する時期に来ました。この現実が過去の日本から変化したポイントのひとつです。このようなインフレ傾向は1年で終わらず数年続くことが普通なので毎年の恒例行事になると思われます。となると、企業は同じ人員数であっても大きく収益を増加させなければなりません。収益を増やす以外にベースアップをすることはできません。競争が厳しくなると予想した通りの現実になりつつあるのを実感します。
企業のベア平均3.57% 連合賃上げ4次集計。中小も3%超え
企業のベア平均3.57% 連合賃上げ4次集計:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO80125840Y4A410C2EP0000/
賃上げ率「5%未満」6割:帝国データバンク調査、3%台が最多の2割で「据え置き」との回答も2割弱あった。
賃上げ率「5%未満」6割:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO80123750Y4A410C2TB3000/
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