言葉の多面性
大切なメンバーが難しい挑戦をしようとしているとき、つい「無理だ」「やめたほうがいい」と言ってしまいがち。相手のことを心配しているからこそ出てくる言葉です。しかし、時として、その言葉が相手の可能性を否定していることに気づかなければなりません。とてもセンシティブな内容ですが、多面的に考えるとそうなることも知っておいた方がいいと感じるのです。
心配が、ときには
人の可能性を信じることと、その人を心配することは、決して矛盾するものではありません。むしろ、本当にその人のことを思っているからこそ、時には厳しい言葉をかけることもあるのです。
ただ、言葉の選び方に注意しなければなりません。あまりに強い言葉で諭したり、可能性を完全に否定するような言い方をすると、相手のやる気を削いでしまったり、自信を失わせてしまう恐れがあります。心配が強くなり過ぎると、言葉も強くなってしまい、否定するような表現になってしまうのです。「それは無理だ」「競争が激しいからやめておけ」「夢みたいなことではないか」と身近な人ほど強い言葉を発するものです。企業では、新規事業の敵は社内にいる、と言われているのも同じです。個人でも何かにチャレンジするときほど、身内から反対されるものなのです。
アドバイス方法
「そんなことをしたら大変だ」ではなく、「その夢を実現するためには、こんな準備が必要かもしれない」という言い方も知っておくべきでしょう。見守ることも必要なのかもしれません。相手の可能性を信じているからこそ、見守る。強い言葉で表現することも愛情表現かもしれませんが、ある程度のリスクが見えているときは信じてあげることも選択肢のひとつなのです。
上下関係では
強い言葉を発する人は、「私にできることはある?」と尋ねることはしないようです。外部から見ていると、確かにそんな言葉を聞いたことがありません。上下関係がある関係性のときほどそうなのかもしれません。協力姿勢を見せることは対等な立場に見えるようで、上の人が下に降りることを拒むこともあるからです。
流れを読む
感情的になるほど、愛情があると錯覚し、強い言葉に出てしまいます。または、自分の思い描いたプロセスがあるので、その通りにならないと感情的に判断する人も多くなります。それがやっかいな場面を引き起こすこともあるのを知っておくと客観的に自分を見ることができるのではないでしょうか。
・本当にその人のことを思っているからこそ、時には厳しい言葉をかけることもある
・ただし、強すぎる言葉や可能性を完全に否定する言い方は逆効果になる恐れがある
・アドバイスは相手の気持ちに寄り添いながら、前向きな形で伝えること
・リスクが見える場合は、相手の可能性を信じつつ、ときどき現実的なアドバイスをする
・必要なら一緒に解決策を考える
まとめ
このような内容はセンシティブなので反論もあると思います。ただ、俯瞰して見たり抽象度を上げて判断できるようになれば、何が正しいのかわかるようになります。感情はどうしても出てくるものですが、その上に自分の視点を置くことができるかが、ここではポイントでしょう。それができるまで、繰り返しだと感じます。
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