働かない・・・

企業に伺うと、こんな質問を投げかけています。「御社の50代は活躍してますか」と。答えは予想通りの内容ばかり。ああ、やはり、というしかありません。

メディアでも、『働かない”おじさん”(おばさん)→勤続年数を重ね 高い給与を もらいながら それに見合った 働きをしていないとされる人』という話題で取り上げられています。いわゆる企業課題のひとつ。今に始まったことではなく、以前から同じようなことは言われていました。30年ほど前に、個人ユースのパソコンが普及機を迎えたときも同じような現象が発生していたのを覚えています。テクノロジーに取り残されていった人たちです。新しいものに受け入れず、抵抗し、過去にしがみつくグループです。このグループ(世代)を今回はあえて取り上げてみます。自分も同世代なので、いつも気になっている内容だからです。

特徴を理解する

企業における50代前後のスタッフが話題になることがあります。「動かない」「指示ばかりして偉そう」「結果を出せない」「過去のことばかり話す」といった評判をよく耳にしますが、果たしてそれは本当でしょうか。まずは特徴から考えてみたいと思います。

50代前後の方といえば、バブル期に20代を過ごした世代。好景気の中で社会人としてのキャリアをスタートさせたため、困難を乗り越える経験が比較的少ないといわれています。仕事は経験によって培われますが、経験値が偏っていた可能性はあります。この世代がたどった時代を振り返ると下記のような時代背景になります。

  • 20代:バブル経験、個人ユースパソコン普及(Windows95)
  • 30代:バブル崩壊を経験、IT化が進む
  • 40代:リーマンショックに直面
  • 50代:デジタル化、DX・AIが普及

と、年齢を重ねるごとに変化のある状況に直面してきました。このような背景が、現在の行動や態度に影響を与えています。時代の変化に追随した人と、追随できなかった人で差が出ているのを感じます。

追随している人は、数年先を見て新しいことを習得しています。切羽詰まって習得するサイクルではなく、おおよそ数年後にはこんな世の中になっているだろうと推測しながら新しいスキルを時間をかけて身につけているのです。段取り、準備力が人生設計においても活かしている人たちだと感じます。

活躍事例

ただ、マイナス面だけではありません。経験豊富な人財にも活躍の場はあります。50代前後が活躍している企業もあるのです。その好例が、ある食品メーカーです。元支店長や元工場長などの元役職者を「人財育成担当」として登用しています。具体的には、

  • 面接の一部を担当
  • 新入社員や若手社員の教育を担当

と役割を担っており、活躍する場をつくっています。若い世代に受け入れられる清潔感のある50代はこのように活躍しているのです。

こんな人が活躍

では、どのような50代社員が活躍できるのでしょうか。少し考えてみます。キーワードは以下の3つだと感じました。

  1. 明るい・元気・前向き
  2. 性格が素直、なんでも受け入れる、柔軟性がある
  3. 清潔感がある

まわりから受け入れられる人は何歳であっても活躍の場があるのは法則性があると思います。

まとめ

豊富な経験や知識は企業にとって大きな財産なはず。活躍してもらった方がいいはずです。ただ、怖がっているのか、新しいことには手をつけない傾向が強い。そこを後押しする人が組織には欲しい。これは年代に関係なく、新しいツールや新しい技術を組織内に浸透させる担当が必要なのでは、と最近強く思います。ツールは使いこなせば、最終的には楽しい世界へ入っていきます。楽しい領域に入るまでは、非常につまらない世界なので、その時間が耐えられないのでしょう。ツールや技術をクリアできれば、豊富な経験や知識によって、だれよりも結果を出すはずです。期待しています。

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