コスト削減
製造業の役員の方から「原価を下げたい」という相談を受けました。コスト削減の手法自体は確立されており、取り組めば一定の効果は期待できます。ノウハウ化されている領域です。そのため、取り組めば結果が出てくるように感じます。しかし、同じ手法を実践しても、会社や担当者によって成果に大きな差が出ることがあるのです。なぜでしょうか。その点を今回は取り上げて、詳細を見ていきます。何かの差が結果を左右していると思います。
サプライヤー
コストダウンの方法の一つに、材料の調達先を複数化することでコスト削減を図る手法があります。現在の調達先数を増やすことで、調達金額が下がっていくのです。たとえば、これを実践した場合、次のような2つのグループに分かれるでしょう。そこから、差が生じる可能性があります。
1)「言われたとおり調達先を複数にしてみた」というアプローチ
- 2-3社に新たに声をかけて終わり。報告では、取り組みましたと強調
- コスト削減効果は数%程度で止まっている
2)「コストを下げるために調達先を開拓し、交渉した」というアプローチ
- 全国や世界中から新規サプライヤーを探索する意識で探した。できる限り声をかけた。交渉した
- 徹底した交渉で20%以上のコスト削減もできた材料もある
大きな差に
同じ「調達先の複数化」という取り組みでも、担当者の意識と行動次第で、このように大きな差が生まれてしまうのです。言われたことをそのまま実行するだけでは、本来の目的である大幅なコスト削減は達成できません。難易度が高い課題解決を目指しているからです。形式的なプロセスをこなすだけでなく、目的を理解し、創意工夫を重ね、粘り強く取り組むことで大きな結果を手に入れるのです。
まとめ
これからの時代、こうした取り組み方の差が企業の競争力を左右する大きな要因になっていくでしょう。今回はコスト削減に取り組む事例で考えましたが、他の場面でも同じです。単に手法を実践するだけでなく、その本質的な目的をスタッフ全員が理解し、主体的に取り組める環境づくりが企業の実力となっていくでしょう。個人の能力の差ではなく、粘り強さの差が結果に大きく影響する分野だと感じます。粘り強さを発揮できるチームをリーダーが醸成することができるのかがカギです。
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