今後を予想する上で

日銀の資料から、今後の世の中を予想するために、資料をピックアップしてみます。今回は政策委員会審議委員の高田創氏の資料から取り上げます。日銀の動きは注目されていますが、今後の流れはある程度確定しています。ただ、タイミングだけが未定の状態。すぐに実施する施策もあれば、先延ばしになる施策も出てきています。情勢を見ながら判断していると思います。

日本銀行 政策委員会審議委員:高田創氏
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_speaker/bm_takata/index.htm

インフレ率比較

ひとつ目の資料は下記の日米欧のインフレ率。米国、ユーロ圏は日本と比較してインフレ率が高かったことがわかります。これだけインフレが激しいと、インフレを抑えるために金利上昇を急ピッチで進めた理由がココにあるのがわかります。

日米欧のインフレ率

減額計画

2024年8月5日に日本で株価暴落が発生しました。その原因と言われているのが金利アップを決定したから、と言われています。しかし、そのほかにも要因があると考えています。それが、下記資料の「長期国債買入れ減額計画」を発表したからです。今まで緩和政策を進めてきた日銀が逆方向の国債買入れ減額になることで、市場にショックが走ったのです。現在、日銀が計画している国債買入れ減額計画は、これから実行されます。3ヶ月ごとに4000億円ずつ減額させていきます。年間では日銀保有国債残高の7%から8%を減額する計画です。

現在、日銀の保有国債残高は500兆円超になっています。約10年ほどで5倍になりました。急激に増やした実績があるのです。それを減らしたいと考えているのです。単純に保有残高が多過ぎると思っているわけです。しかし、残高を減らすのは難易度が高い。条件が揃わなければ減額できないからです。減額した分を他の金融機関などが国債を買ってくれるかがカギです。今後、買入れ減額を継続できるかが注目されているのはそのためです。

長期国債買入れの減額計画

下記資料は、国債の保有している主体を比率で表現しています。↓
日銀の国債保有が急増した最近10年間を見ればわかりますが、中央銀行(日銀)の保有比率が急上昇しています。53%という直近のデータが表現されています。半分を中央銀行が保有しているのです。これも偏りが大きいと判断されています。逆に金融機関の保有比率は1/3から1/4へ減少しています。このバランスを元に戻したいと考えているのが日銀の施策です。

主体別の国債等保有比率

まとめ

計画はあくまでも計画です。これが実行できるかは環境や条件次第です。計画通りにならない場合は、健全な形にならないこともあるでしょう。そこは日銀の対応や選択、判断が問われます。今後も状況を確認していきたいと思います。

——————————-
スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆