とにかく

「船をこぎまくれ、滝に落ちるぞ!」
起業時にメンバーと交わしたメッセージとしてメディアに掲載されていました。何の信用もなく、何の資産もなく、ビジネスを立ち上げるときは、とにかく船をこぐしかありません。そこには、最後尾からスタートした企業としてのポジションが記されています。先行する企業を追いかけるしかなく、自分たちの後ろには何もありません。滝があるだけなのです。

同じ構造

新規事業を起こすのも実は同じ構造です。環境はちがうかもしれませんが、市場に置かれた立場は同じ立ち位置です。今回は、船をこぎまくれ、という意味を紐解きながら、スタートアップリーダー、新規事業リーダーに必要な心構えを考察していきます。

1. 危機意識と当事者意識

「滝に落ちるぞ!」という表現は、ビジネス世界の厳しさを象徴しています。これは本当にそうで、だれも助けてくれない世界です。自分たちで到達させなければなりません。新規事業のリーダーの場合は、危機意識というより当事者意識を持つことからです。自分以外に誰かが手助けをしてくれない、と自覚した方がいいでしょう。ここは自覚できないかもしれませんが、依存をなくし、自立した意識を持てるだけでかなり良い状態になります。

2. 積極性と前進

「船をこぎまくれ」は、絶え間ない努力の必要性を表しています。とにかく、引っ張っていく。何があっても引っ張るしかない。困難や壁にぶつかることは普通のことであり、それを乗り越えるところに実力がついてくるのです。新規事業では、立ち止まることは後退を意味します。リーダーは常に前進し続けることが求められます。真価が問われるのは、業績が良くないときや環境や条件が揃わないタイミングです。そんなときでも乗り越え、前進させられる力がホンモノです。

3. 不確実性への対応力

ビジネス環境には、不確実性があります。避けられないことの中で、予期しない、まさかのできごとが発生するからです。これから3年間は不確実性が高まる時期に入りました。すでに入っていると解釈していいでしょう。そんなときは、予期せぬ事態に驚かず、フリーズしないこと。そして、柔軟に対応できるように準備しておくことです。冷静に判断できるよう、今から複数のシナリオを想定して準備が大事。欠かせないことになります。

まとめ

新規事業のリーダーシップは、まさに激流の中で船を操るようなものです。一定の流れではなく、変化し続ける流れの中で操作することになります。速さも変われば、水量も変わる。風も追加されることもあり、何ひとつ一定のものはないのです。自然の摂理を考えるとわかりますが、自然は一定の状況を保つことはありません。たえず変化しているのが自然の摂理です。それを同じことをビジネスでも実践すればいいだけのことです。何も特別感はなく、自然界ではごくあたり前の法則だと感じます。

私たちは自分に言い聞かせた。『船をこぎまくれ。滝に落ちるぞ!』
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD142DJ0U3A810C2000000/

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