やはり過度な現状賛美は危険
もしあなたの属する組織が、やたらと現状を褒め称える傾向にあるとしたら、それは少し立ち止まって考えるべきかもしれません。もちろん、成果を称賛し、良い点を評価することは重要です。しかし、それが度を超し、まるで絵に描いたような「理想的な姿」ばかりが強調される時、そこには見えない「言えない雰囲気」が潜んでいる可能性を疑ってみるべきです。健全な組織であれば、良い面も悪い面もオープンに議論され、建設的な批判が歓迎されるはず。その現状認識のスキルがあると正確な現状把握ができます。
「言えない雰囲気」が生まれる背景
なぜ、現状を褒め称えるばかりの組織が生まれるのでしょうか。その背景には、いくつかの要因が考えられます。ひとつは、「忖度」や「上層部への配慮」です。本音を言うことで評価が下がる、あるいは不利益を被ることを恐れ、従業員が自主的に口を閉ざしてしまうケースです。また、組織全体が「失敗を許さない」という空気に包まれている場合もあります。失敗を恐れるあまり、問題が顕在化する前に隠蔽されたり、見て見ぬふりをされたりすることが常態化し、結果として表面上は「全てが順調」という状態が作り出されます。このような環境では、新しいアイデアや改善提案も生まれにくくなり、組織としての成長が停滞するリスクを抱えます。
健全バロメーター「言える雰囲気」
組織が真に成長し、持続的な発展を遂げるためには、「言える雰囲気」の確保が不可欠です。言える雰囲気を「心理的安全性がある」と表現しますが、自分の意見や、あるいは疑問を表明しても、バカにされたり罰せられたりしないという雰囲気のことです。これが確保されていれば気兼ねなく問題点を指摘したり、異なる視点を提供したりすることができます。
結果として、組織は潜在的なリスクを早期に発見し、より良い解決策を見つけることができるようになるはず。
まとめ
意見を言わさないようにしても意味がありません。疑問が消滅するわけではないからです。しかし、言わさないような雰囲気の組織もあります。ただ、そのような組織は最後には不祥事が発生するものです。大企業の不祥事を調べれば、その組織の雰囲気が手に取るようにわかります。
組織を構築するには、時間をかけてでも、耳障りな声にも耳を傾け、多様な意見が自由に飛び交う環境を育むようにしていくことです。それが成長につながります。
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『経営情報Web Magazsine ファースト・ジャッジ』運営執筆 藤原毅芳(fjコンサルタンツ) from2011