可視化するとき

データ採取が今後の経営を左右するのは理解され始めていると思います。データを取得して蓄積している企業の方が先に行く可能性が高くなったのです。もともと、センサーの普及は10年前から推測されていました。あらゆるところにセンサーが設置されていく世界です。ビジネスでは、現場を可視化する動きになります。

では、可視化するとき、どのようなデータを取得すればいいのでしょうか。おおよそ、次の7つが優先事項になります。

①場所(Location)
②工程(Operation)
③状況(Situation)
④数(Count)
⑤危機(Hazard)
⑥稼働(Availability)
⑦品質(Quality)

7つの情報

製造業や建設業など、現場での作業効率や安全性を向上させるためには、「見える化」が不可欠。しかし、データが集まらない領域でもあります。そこで、限定されたデータ取得からスタートするのが有効。そこから、可視化領域を広げていくプロセスです。最初から完璧を求めず、数年かけてデータを正確に取得できるよう仕組み化するのが理想です。7つの情報を最初から求めるのではなく、必要な情報に絞って情報収集する手法も検討の余地があります。

ポイント7つ

情報収集したい内容について、項目ごとに解説します。

  1. 場所(Location)
    • スタッフや資材が今どこにあるか、製品の場所や在庫の場所が可視化される状態
    • 効果:無駄な移動時間を削減し、必要な場所に適切な資源を配置可能。急な編成変更も可能になります
  2. 工程(Operation)
    • どの作業が、どの順序で、誰によって行われているか。滞っている地点も見えてきます
    • 効果:作業の進捗状況をリアルタイムで把握し、ボトルネックになっている工程を特定でき改善できます。収益に直結します
  3. 状況(Situation)
    • 機械が「運転中」か「停止中」か、センサーが「異常を検知」したのかがわかります。緊急停止やムダも理解できます
    • 効果:現場の状況を即座に把握、異常発生時にアラートを出すことで、大きなトラブルを未然に防ぐことが可能
  4. 数(Count)
    • 生産数、在庫数、不良品数の可視化
    • 効果:目標に対する進捗を確認し、生産計画の調整や、在庫管理の最適化になる。全体最適が可能になる
  5. 危機(Hazard)
    • 危険物濃度、温度、粉塵量など、スタッフの健康や安全に関わる数値
    • 効果:潜在的な危険を検知し、警報を発することで、事故や健康被害を防ぎます
  6. 稼働(Availability)
    • 機械や設備の稼働時間、停止時間の可視化、稼働率の把握につながります。感覚ではなく数値による振り返りができます
    • 効果:設備の総合効率を計算する基礎となり、生産性の向上につながる改善点を発見可能
  7. 品質(Quality)
    • 製品の品質に関するデータ。寸法、強度、不良率を可視化
    • 効果:品質管理データをリアルタイムで追跡、不良の原因を素早く特定して対策を講じ収益アップになります

なぜ「見える化」が必要なの

これらの情報を可視化することの最大のメリットは、「客観的な事実に基づいた改善」のアプローチができること。その仕組みが組織に定着することです。これまで経験やカンに頼りがちだった現場の課題解決が、データという明確な根拠に基づいて行えるようになります。これが理想の形です。

理想は、書くと簡単な内容に見えますが、その仕組みがないところからスタートする場合は、とにかく時間がかかると思っておいてください。

まとめ

データを取得し、「見える化」できるようにするには、単に数字を集めることがゴールではありません。そこから、「見えていない事実」を発見することです。見えないものが見えたとき、新たな現場の課題を浮き彫りにします。戦略的なアプローチです。このデータ活用によって生産性を実現させ、持続的な成長を実現する現場づくりが可能だと感じます。

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『経営情報Web Magazsine ファースト・ジャッジ』運営執筆 藤原毅芳(fjコンサルタンツ) from2011