残価設定型住宅ローン

「家が高すぎて買えない」
そんな悲鳴が上がる中、国土交通省が後押ししている住宅版の「残価設定型住宅ローン(残クレ)」です。2022年ごろからスタートしています。
自動車やスマホの購入ではおなじみのこの仕組みが、ついにマイホームにも普及されようとしています。返済金額を低くするために考え出された住宅ローンです。特に都心部の住宅、マンションの高騰が続いているので、このような仕組みが推奨されるようになったのでしょう。地方で確認しましたがほとんど展開されていないと思います。

今回は、この残価型住宅ローンについて取り上げてみます。

残クレとは

そもそも「住宅の残クレ」とは何か。仕組みは車の残クレと基本同じですが若干ちがいます。将来(たとえば50年後)の家の価値=「残価」をあらかじめ決め、借入総額からその残価を引いた分だけを分割で返済していきます。返済終了後は、
・買取オプション
・リバースモーゲージに転換
などが選べます。買取の場合は、残価分を支払って自分のものにする手法。リバースモーゲージに転換する場合は、所有者が亡くなったときに清算することになります。

それって高コストな賃貸なのか

この制度は法的には「所有」ですが、実態は「賃貸と持ち家の『ハイブリット』」なので多少のリスクがあります。
① 名義は自分なのに:
 「残価」を保証してもらうため、定期的な点検を義務付けられます。自分の家なのに、自由にはできない部分があります。これは自動車も同様です。自動車の場合は年間の走行距離の上限が決まっています。
② コスト負担は「オーナーなので」:
 ここが一番のネックです。将来手放すことが前提でも、住んでいる間の「固定資産税」などは、すべて自己負担です。所有者だからです。

すべては返済を減らすため

このような仕組みができる要因は、住宅・マンションの購入意欲が冷めるのを防ぐため。そのため、目の前の返済額を減らすために生み出されます。
・この返済額なら返せそうだ→購入できる→購入しよう
という段階をスムーズにさせます。購入意欲が高まった人が返済額で躊躇するなら、残価型住宅ローンを提案すれば、購入意欲の減退なしで進めるのではないか、という意図があるのです。

ローン期間は長くなり

住宅ローンの期間は長くなっています。
・30年ローン
の時代から
・35年ローン
になり、最近では
・50年ローン
まで出ています。ペアローンも開発され、さらに残価型住宅ローンまで出現してきた、という印象を受けます。金融の商品はさまざま開発されてきますが、住宅ローンに関しては積極的に商品が開発されているように感じます。

まとめ

住宅ローンは返済期間が長いだけでなく、超長期の返済になります。そのため、時代がどのように動くのか、といった不確定要素が多すぎます。リスク想定の幅が広くなるのです。そのため、リスク回避を考えるならば、目先のことを考えず、長期間の安定(固定)を選択し、リスクを確定させる方が安心です。金利が上昇している状況なので、今後は金利があるのが通常運転になります。その前提で考えた方がリスクが少ないと感じます。

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