耐える力不足
「事実や理由をせっかちに求めず、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいられる能力」これを
・「ネガティブ・ケイパビリティ」
と呼びます。
・「答えが出ない状態に耐える力」
という意味。詩人のジョン・キーツが残した言葉とされています。答えをすぐに求めすぎる時代になると、この言葉がクローズアップされます。答えが出ないことに対して、耐える力が不足するからです。
素早く答えを出す能力
もともと学問は深く、時間をかけて考えることを基本としていました。しかし、受験において、問題を素早く理解し、最短距離で解決策を導き出し、テキパキと処理する能力を評価するようになってしまいました。もちろん、これも重要です。しかし、
・変化が激しく正解のない時代において
は、それだけでは乗り越えられない。答えが出ない状態が年単位で続くこともあるので、それに耐える力が要求されているのです。
研究者は当たり前
ノーベル賞を受賞するような科学者たちは、このネガティブ・ケイパビリティの重要性をよく知っています。「理解できない状態」を不快に感じたとき、すぐに結論に飛びつくのではなく、その分からなさの中に踏みとどまり、問い続ける。数年かかってでも耐えて、その忍耐の先にこそ、これまでの常識を覆すような発見があると信じているからです。
マネジメントの現場でも
ビジネスの現場においても答えがすぐに出ないことはあります。原因がわからないときや、突破口が見えないときもあります。新規事業が黒字転換しないときほど焦りながら答えが見えないこともあるでしょう。このとき、リーダーには
・この状態を耐える力
が必要とされます。毎日、答えを探す作業。今日も解決が導けなかった。そんな連続です。しかし、解決への道を探り続けられる力があれば最終的には、解決へとつながるのです。
まとめ
答えが見つからないときに安易な解決方法を実施することは、思考の放棄に近い。不安を前にして思考が停止しています。そうではなく、自分で答えをたぐり寄せる力がほしいところ。ここは、即断即決がもてはやされる時代ですが、あえて「すぐに分かろうとしない」気持ちを持つことです。そこから自分の力となる経験が生み出されていくでしょう。
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