書店の退出が止まらない
書店運営会社の市場退出が加速しています。2014年以降、倒産や休廃業する書店が新設法人を上回る状態が続き、この10年間で764社もの書店運営会社が市場から姿を消しました。この傾向は、書店の店舗数の減少にも表れており、本を購入する場所が徐々に失われつつあります。
変化する消費者の時間の使い方
この現象の背景には、消費者の書籍に対する関心の低下があります。人々は以前ほど、書籍に費用と時間を投じなくなっているのです。その理由のひとつに、時間をかけて楽しむコンテンツが避けられる傾向があります。社会のスピードアップにともない、短時間で消費できるコンテンツを好むようになりました。書籍は、読み進めるのに一定の時間を要するため、この変化に適応しきれていないのです。
さらに、インターネットの普及により、情報収集の方法が多様化したことも書籍離れに拍車をかけています。スマートフォンひとつで、いつでもどこでも手軽に情報にアクセスできる時代。わざわざ書店に足を運んで本を購入する必要性を感じる人は減少しています。
一方で
一方で、書籍の持つ価値を再認識する動きも見られます。SNSでは、「#本の話をしよう」などのハッシュタグが使われ、読書体験を共有する人々が増えています。また、書店が単なる本の販売所ではなく、コミュニティの場として機能するケースも出てきました。カフェスペースを設けたり、著者との交流イベントを開催したりと、工夫を凝らす書店もあります。
しかし、これらの取り組みだけでは、書店の市場退出に歯止めをかけるのは難しいかもしれません。根本的な解決策は、書籍というコンテンツ自体を、現代の消費者のニーズに合わせて進化させることにあるのかもしれません。たとえば、短編小説や図解入りの解説書など、短時間で読み切れる書籍を増やすのも一案です。あるいは、書籍とデジタルコンテンツを融合させた新たな形式を模索するのもおもしろいかもしれません。
まとめ
いずれにせよ、書籍業界は大きな変革の時期を迎えています。出版社や書店が、新しい時代に適応したコンテンツとサービスを生み出していくことが求められています。読者も、書籍の持つ価値を再発見し、読書の楽しさを次の世代に伝えていく必要があるでしょう。本好きとしてはリアルな書籍の良さは残してほしいと思います。
「書店」10年間で764社が倒産や廃業で消えた
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198433_1527.html
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