日銀の金融政策変更

日本銀行は、長年続けてきた異例の金融緩和策からの転換を決定しました。具体的には、①マイナス金利の解除、②イールドカーブコントロール(YCC)の撤廃、③ETFとリートの新規買入れ廃止の3点です。これらの措置は、日本経済が過度な金融緩和から脱却し、より持続可能な成長軌道に乗ることを目指すものです

今後の期待が

マイナス金利政策は、デフレ脱却と経済成長の促進を目的に、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部にマイナス金利を適用しました。そうすれば市中にお金が回るだろうという期待でした。しかし、この政策は金融機関の収益性を圧迫し、預金者の利息収入も減少させるなどの副作用もあったのです。今回のマイナス金利解除は、これらの問題を解消し、金融機関と預金者の収益改善につながると期待されます。この時期のマイナス金利解除は金融機関からの圧力が影響していると考えている人もおり、時期が最適かは後からわかってくると思います。

正常な形に

イールドカーブコントロール(YCC)の撤廃は、金利が市場の需給を反映して自然に決まるようになることを意味します。これは、国債市場の正常化と、市場機能の回復に寄与すると考えられます。普通に考えれば、コントロールしている状態が異常な状態であり、ようやく正常な形になったといえるでしょう。

力強いから

ETF(上場投資信託)とリート(不動産投資信託)の買い入れは、株式市場と不動産市場を支援するために、これらの資産を大量に購入してきました。しかし、この政策は日銀の市場介入を大きくし、民間の市場参加者の役割を小さくするなどの問題がありました。ETFとリートの新規買い入れ廃止は、市場が力強いとの判断の結果ですし、また健全性を高めることにつながると思います。

意図がある

これらの政策変更は、情報リークにより事前に予想されていたこともあり、市場の反応は比較的穏やかでした。ただ、情報が漏れる時期があまりにも早く、驚きの声も上がっています。早い段階で、断定的な情報が漏れることは今までの中でも珍しのではないでしょうか。そこに意図を感じます。

慎重さ

ただし、金融正常化のプロセスは、急激に進めるべきではなと日銀は考えているので、国債の買入れスピードと量は減らさない、変化なしと伝えています。4月にも新たな統計データが出てきますので、そのときに次の判断をするのではないでしょうか。間違っていれば半年後に再度方向転換をすることも考えられます。

まとめ

金融政策の正常化は、日本経済の健全性を高め、持続的な成長を実現するために不可欠。今回の日銀の決定は、その第一歩として評価できます。もう、過去とは決別したいという姿勢も見えてきます。今後も正常な状態へと戻す動きが続くと思います。

——————————-
スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆