なぜお金を使わないことが快感になるのか
引きこもった時期があったので、お金を使わなくなった。そう言われています。価格が上昇しているので、お金を使わなくなった。そうとも言われています。しかし、本当のところはちがうのではないか、と思うようになりました。心理的な側面から考えたら、お金を使わないことに「快感」を感じているのではないか、と思ったのです。お金を使わないことで「快感」を体験し、お金を使わないことも報酬になっていると考えたのです。今回は、お金を使わないことから得られる心理的な快感を科学的な側面から考えてみます。
脳科学が証明:節約は本当に気持ちいい
米国大学の研究によると、ドーパミンは「何を得るか」ではなく「どれだけ価値があるか」に反応することが分かっています。つまり、1万円の服を買う喜びと、1万円を貯金する喜びは、脳にとって同じレベルの報酬と考えられるのです。さらに、節約から快感を得る人たちの脳波を調べると
- 計画性や自制心を司る部分が活発化する
- 衝動的な行動に関連する部分が抑えられる
とわかりました。要するに、節約好きの脳は「賢い選択をしている」状態で快感を感じるようにできていると思われます。
「損したくない」気持ちが生む快感
人間は何かを得る喜びよりも、何かを失う痛みの方を2倍強く感じることが証明されています。これはよく知られた理論です。損する痛みの方が大きく、記憶に残るのです。つまり、
- 1万円使う = 1万円を失う痛み
- 1万円使わない = 1万円の損失を避けた安堵感
となり、損失回避がはたらくのです。
将来を考えると
節約できればできるほど、将来の安心感が生まれるのかもしれません。不確定な将来について、不安を感じる人ほど、何か安心を手に入れなければなりません。そのひとつの選択が「節約」です。その節約を体験したときに、中には「大きな快感」を感じる人が出てくるのです。この報酬は手に入りやすいため、継続性が高いと感じています。
まとめ
経済の原理からいえば、貯蓄が増えるほど、経済が回りません。経済が停滞していきます。金利を前提とした経済で回っている現在では、消費を増やすことが正しいとされているのです。しかし、節約や貯蓄に報酬を感じる人が増えるならば、経済の構造が変わっていく可能性もあります。短期的には何も変わらないように見えますが、10年単位の長期で見れば変化がわかるようになるでしょう。
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