日本郵便に行政処分

2025年6月、国土交通省が日本郵便に対して厳しい行政処分を下すことが明らかになりました。全国の郵便局における配達員への法定点呼が適切に行われていなかった安全管理の不備問題を受けて、貨物運送事業許可取り消し。全国2500台のトラックなど今後5年間使用できなくなります。これだけの規模で運送が止まると業界の影響は大きいと感じます。

点呼とは

今回問題となった「点呼」とは、運送事業者が法的に義務付けられている安全管理措置の一つです。運転者の体調確認、アルコールチェック、車両の安全確認などを運行前後に実施することで、交通事故の防止を図る重要な制度です。全国規模でこの法定点呼が適切に実施されていなかったということは、安全管理体制に根本的な問題があったことを示しています。

実際に安全管理を担当している人に聞いたところ、「ありえない」とバッサリ。そんなことしていたら、すぐに経営がストップするはず、と言っていました。担当の人から見れば、今回の処分も完璧には見えないようです。

不祥事を見ていると

企業の組織的な不祥事は確認するようにしています。そこに共通の原因があるからです。組織特有の力がはたらいています。今回も、「知ってはいたが、やっていない」という単純なミス。だれもが、「やらなければいけない」とわかっていたはずです。それを、見過ごしながら、組織が動いていたことが異常。でも、組織内の人にとっては「異常な状態が続いたから通常」になっていたのでしょう。そこが集団心理のマイナス点です。集団だとマイナスなことを放置してしまうのです。「この状態がおかしい」と発言した人もいたと思いますが、何も変わらない組織では、発言する人がいなくなるのです。

まとめ

問題が発生したときに組織の問題点が発覚することがあります。今回は大きな問題が発生したわけではありませんが、巨大組織で点呼が行われなかったことは大きなインパクトを残しました。この不祥事で、あの組織はこんな組織だ、とレッテルを貼られることになります。やっぱり、昔のままだった、という感想も耳に入ってきています。結局、成長できなかったと烙印を押されてしまいます。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazsine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆 from2011