5%の目標設定
NATOをはじめとする多くの国々で軍事費の拡大が加速しています。特に、先日合意されたNATOのGDP比5%という新たな国防費目標が設定されました。軍事費の拡大は、安全保障上の必要性から来るものです。ただ、経済の面から見れば、経済システムが抱える、より根深い問題の現れのようにも見えてきます。
金利のある世界
金利のある世界は宿命があります。金利分が増加しなければ成立しないのです。3%であれば24年間で2倍の規模になります。そのため、成長し続けることを避けることができない。永遠の成長が前提なのです。
経済においては、先進国は成長が鈍化しています。消費に限界が生じます。それを解決するために移民を増やす政策もとられましたが、現在は移民政策も行き詰まり。そうなると、残る経済成長は限られることになるのです。成長するには、「消費の拡大」が必然なのですが、消費拡大の要因がだんだんとなくなっている状況を認識しておきましょう。
関連はないが
今回のNATOの軍事費のGDP5%の合意は、経済の成長と直接的な関連は見えませんが、最終的にそこにつながっていくと感じています。これも金利のある世界の宿命なのかもしれません。そもそも、金利を前提として経済の仕組みを変えないかぎり、成長路線は変えられない。構造がそうなっているので路線変更するならば、世界中で方向転換しなければならないのです。今のところ方向転換の兆候はありません。
研究はメリットも
ただ、軍事研究から生まれた技術は、後に民生転用され、経済全体の生産性向上に貢献することもあります。たとえば、GPSやインターネットも元は軍事技術です。インターネットの仕組み(ワールドワイドウェブ:WWW)は、通信が部分的に遮断されても、からなず迂回してつながるようにする技術。世界中で情報が共有できる仕組みで、これも軍事技術の恩恵です。
まとめ
経済の構造と今回の5%目標に関しては、今後の歴史が証明していくでしょう。金利がある世界の構造を理解しておくのが前提で、その構造の上で世の中のイベントが発生していることを把握しておいてください。そこが見えれば、先も見えてくると思います。
——————————-
スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazsine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆 from2011