21億円超の損害賠償請求

読売新聞が、米国の新興企業「パープレキシティ」(生成AI検索サービス)を相手取って訴状を提出。その内容は
・約12万件記事と画像を無断で取得・複製(4ヶ月間の件数)
・AI回答に使用
という内容。著作権侵害として訴えています。

同時に
・記事利用差止め
・21億円超損害賠償
も求めています。

AI企業は数多くありますが、今回は1社だけを対象に訴訟。どうしてパープレキシティだけが対象になったのかはわかりませんが、国内企業がAI企業を対象にした訴訟は初めてではないでしょうか。注目される内容ですし、結果も気になるところです。

公衆送信にあたる

パープレキシティは、AIの中でも「Webの情報を検索できる」ツールとして評価されています。パープレキシティに問いかけると、回答してくれるのですが、その回答内にニュース記事、画像を引用して表示しています。利用者にとっては便利なAIで、検索の効率を上げてくれるツールなのです。今回は、この運用方法が
・AIによる公衆送信
だと指摘しているのです。(「公衆送信」とは、著作物を不特定または多数の人が直接受信できるように、無線または有線で送信する行為のこと)

なぜ今なのか

AIの出現によって検索が減少し、ニュースサイトなどのWebはアクセス数が減っているのが予想されます。そのため新聞社のサイトから得られる収益も減少しているのでしょう。新聞社のWebは
・有料購読
・広告
から収益を得ています。アクセス数が減少すると広告収入が減るのではないでしょうか。そのため、減った収益を挽回するために考えている施策のひとつがAI企業との連携でしょう。その連携の模索が今回の訴訟につながっていると予測しています。

まとめ

読売新聞が米国生成AI企業を相手取った訴訟は、日本で初の大手メディアによる著作権侵害訴訟であり、21億円超の損害賠償と記事利用差止めなどを求めているのは目立つ内容です。判決が出れば、AI企業はニュースコンテンツの学習データ取得に対して明確なライセンス体制をつくる必要が出てくるでしょう。他のAI企業も対応を迫られていると思います。新聞は100年間以上、変わらないビジネスモデルです。しかし、今はそのビジネスモデルを変革しなければなりません。このような動きは活発化してくると予想しています。

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『経営情報Web Magazsine ファースト・ジャッジ』運営執筆 藤原毅芳(fjコンサルタンツ) from2011