「事実の歪曲化」とは
ビジネスにおける「事実の歪曲化」とは、単なる嘘や間違いではありません。自分に有利な状況を作るため、意図的に事実と異なる印象を与える行為全般を指します。具体的には、都合の良い情報だけを強調したり、不利な情報を隠したり、解釈をねじ曲げたりする巧妙な手口が用いられます。
その目的は、上司といった関係者に誤った意思決定をうながすこと。たとえば、製品の販売結果を過大に報告する、プロジェクトのリスクを報告しない、業績を良く見せるために数値を操作するなど、その形は様々。この行為は、最初はちいさなごまかしから始まるかもしれませんが、放置すればチームや組織の信頼を根底から揺るがし、やがては全体を危機に陥れる深刻な問題だと感じます。
なぜ事実の歪曲化は起きてしまうのか
事実の歪曲化は、特定の悪意ある個人の問題だけでは片付けられません。発生の背景には組織的な要因が潜んでいると考えています。たとえば、達成不可能だと思われる目標を達成しなければならない雰囲気や短期的な成果を過度に重視する評価制度は、スタッフを追い込み、強いプレッシャーとなっていきます。
また、「失敗を報告すると厳しく叱責される」といった心理的安全性の低い環境では、問題を隠蔽する文化が根付きます。「会社のため」という誤った忠誠心も、歪曲化を正当化する口実となり得てしまいます。ここは、会社のため、チームのためというすり替えが発生してしまうので、文化醸成のゴール設定の正確性が求められるでしょう。
歪曲化からのシナリオ
一度の歪曲化が引き起こすと代償を払うことになります。まず失うのは、顧客、取引先、そしてスタッフからの「信頼」です。現場からの情報が歪められれば、リーダーは実態を見誤り、致命的な経営判断を下すリスクが高まります。間違うことが増えるでしょう。最初は小さなできごとですが、そこで発見されることは少なく、大きな事象として出てきてから発見されることになると思います。
まとめ
事実の歪曲化は、ビジネスの根幹である信頼を破壊する深刻な内容です。まずは、過度なプレッシャーがかかっていないのかを確認したいと感じます。もし、過度なプレッシャーがあるのであれば、そのプレッシャーを緩和し、誰もが正直に報告できる心理的安全性の高い文化を主導して築き上げることが優先だと感じます。
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