産業レポート

みずほ銀行、産業調査部が公開した「日本産業の中期見通し(2025年11月28日)」を取り上げます。レポートでは、国際情勢の緊張や人口減少、デジタル技術の進化といった外部環境の変化を踏まえ、各産業が取るべき戦略が提言されています。今後の日本の産業を予想する上では、このような資料は外すことができません。

求められる3つの戦略

まずは直面する課題について。2026年以降において、日本の産業は下記の問題に直面すると予測されており、それを解決する戦略が求められています。人手不足などによって製品サービスの提供ができなくなる。既存ビジネスがシュリンクしていく。デジタル化に対応できない。そんな状況を指摘されています。

  • 日本企業に求められる3つの戦略
    1. 供給体制の適正化
      経済安保や人手不足に対応した供給網再構築、省人化。
    2. ビジネス領域拡張
      既存事業の知見を活かした周辺領域への展開(バリューチェーン拡張、異業種連携)。
    3. デジタル技術活用
      既存商品・サービスの付加価値向上と新規需要創出。

産業別動向と戦略

産業別にコメントが出ています。気になるところだけ取り上げてみます。

  • 化学
    グローバル需要は鈍化、国内は内需低迷が継続 。中国の自給化で輸出が厳しくなるため、エチレンプラントの集約など生産能力の適正化と高付加価値品へのシフトが急務
  • 鉄鋼
    グローバル需要はインド等が牽引し拡大するが、国内は建設需要減で縮小 。保護主義の高まりを受け、輸出ではなく海外現地での一貫生産体制構築がカギ
  • 非鉄金属 (銅)
    EV・データセンター向けに需要拡大 。鉱石調達難(買鉱条件悪化)に対し、リサイクル原料の活用や政府と連携した資源確保が必要
  • 建設機械
    北米・欧州・インドは底堅いが中国は伸び悩み。新車販売だけでなく、部品再生やレンタルなどのバリューチェーン事業への転換と、デジタル技術によるソリューション提供が重要
  • エレクトロニクス
    AI化・デジタル化で半導体・電子部品は成長基調。半導体市場は2030年に1兆ドルを前倒しで達成予測。スタートアップやアカデミアへのアプローチによるマーケットイン型のモノづくりが求められる
  • 自動車
    2025年は米国の関税前の駆け込みで増えるが、以降はコスト転嫁で成長鈍化。USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の適用厳格化リスクがあり、場合によっては本格的な米国生産シフトが必要になる可能性
  • 建設
    名目投資額は資材・労務費高騰で増加するが、実質ベースでは伸び悩み。人手不足が深刻なため、国内事業の規模拡大による施工力確保と、それを基盤とした多角化が必要
  • 電力
    データセンター需要等で電力需要が増加。供給力確保のため、他社(需要家や投資家)と連携した火力発電所の新設・リプレース投資が戦略の方向性

まとめ

このような産業動向を見ていくと、次にどこの業界が拡大していくかがわかります。逆に好調だった業界が停滞することもあるので、市場の供給と需要については必ずチェックが必要です。2026年は特定の分野だけがクローズアップされており、全体的に見て低調な感じを抱いています。また世界各国のインフレの状況によっては、消費の停滞が発生する可能性もあるので、動向を確実に見ていきたいところです。

日本産業の中期見通し みずほ銀行
https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/industry/sangyou/pdf/1079.pdf

——————————-
スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆